新型コロナウイルス

 大阪府が休業要請に従わないパチンコ店の名前を公表するというので,かえって人が集まるのではないかと思ったら,案の定だったようだ。何せ相手がパチンコ店とパチンコ愛好家(?)である。大人しく言うことを聞くとは思えなかった。まして大阪である。ここに,公表という手段の限界がある。公表されて困るような業界なら効果があるが,そうでない相手には通用しないのだ。

 だが,これも一時的かもしれない。

 休業要請にあえて従わず,クラスターが発生したりすることを考えれば,とんでもないリスクを抱えたことになる。それは,お店だけでなく,行った人もだ。つまり,信用を失う(そもそも信用を売りにする業界ではないのだろうから,気にしないのだろうが)では済まないということだ。巨額の損害賠償リスクを抱えるということである。

 新型コロナウイルスに感染したことが確認されれば,徹底的に感染ルートを調べられるので,休業要請を無視したパチンコ店が発生源であることが分かれば,巨額の損害賠償が請求され,認容される可能性がある。マスコミは,公表を批判する有名人のコメントを紹介するだけでなく,こういうリスクがあることを言うべきだ。

 パチンコ店だけでなく,あえてそこに行った人も,二次感染させたことが分かれば,巨額の損害賠償請求を受けるリスクを抱えたことになる。

 混雑している観光地が紹介されたりもしているが,混雑していると思って行く人は少ないだろう。おそらくは,人がいないだろうと思って行ってみたら混雑していた,ということなのだと思う(思いたい)。が,パチンコ店に行くのはそれとは違うのだ。

 

 

 テレビでも新聞でも雑誌でも,いちいち検査に「PCR」と付けるのはなぜなのだろう。現状,ほかに検査方法はないのだから,あえて何かと区別するために付ける必要がある場面でなければ,わざわざ「PCR」と付ける必要はない。

 いちいち「PCR」と聞かされるのにもうんざりしてきた。

 挙げ句には,ワイドショーのコメンテーターなんかが,散々「PCR検査」「PCR検査」と言った後に,「で,PCRって何なの?」とか言ったりしている。

 あまり「PCR」ばかり言うと,「PCR」に変なニュアンスが付いて,言葉狩りが始まるのではないかと危惧する。

 特に必要がないなら,単に「検査」と言えばいい。

 

 

 テレビを見ていると,政治家や役人のしているマスクが気になるようになった。というのも,変な柄のマスクをしている人が目立ってきたからだ。

 いい年したおっさんが柄物の布マスクをしているのは,見ていて気持ちが悪い。しかも,何回か洗ったのか,よれよれだったりすると尚更だ。

 もっとも,これも慣れかもしれない。

 黒いマスクだって,かなり気持ち悪かったが,多少は見慣れてきた。昔は白いワイシャツを着ている人しかいなくて,色物のワイシャツを着ている人がいるとすごく変に見えたが,最近は白いワイシャツの方が目立つくらいだ。マスクもそうなるかもしれないが,やはり今は気持ち悪い。

 それよりも,政治家なんかの場合は,布マスクをしているか,使い捨てマスクをしているかに注目した方がいいのかもしれない。安倍総理のように,頑なに小さい布(ガーゼ?)マスクに固執している人もいる。小さすぎて顎が完全に出ているのはいただけない。布マスクにこだわるにしても,大きめのをするべきである。あんなマスクでもいいんだというメッセージを発信していることになるからだ。

 政治家(自治体の首長もそう)が布マスクをしているのは,そこにこだわりがあるからなのだろうが,手に入るならできるだけ使い捨ての不織布マスクをすべきなのは言うまでもない。最近は多少(値段は高いが)不織布マスクも流通するようになっているので,やはりリーダーたるべき人は感染予防により効果のある(と言われる)不織布マスクをすべきだと思う。

 布マスクの素材もいろいろなのだろうが,昔売っていたようなスカスカのガーゼマスクに近いものでは効果はほとんどないだろう。使い回しということを考えれば,効果があって長持ちする(縮みにくい)素材を積極的に紹介すべきだと思うが,聞いたことはない。どんな布でもいい,というようなメッセージを流すのはよくない。古着を加工して作ったりしている人もいるようだし。

 そんな中で,個人がマスクを作っていろんなところに寄附するのが美談として報道されているが,そのまま使って大丈夫なのか,非常に心配である。その方は純粋に善意からやったことなのだろうが,衛生的な環境で清潔な布を加工したのかどうかも全く分からないものをいきなり口に当てるのは,かなりリスキーである。だからといって,一度洗ってから,というのも,数が多くなると難しくなるだろう。学校などでもらって,生徒に配るときに,「一度洗濯してから使いましょう」などと言うのも,寄附してくれた方にそんな話が伝わるかも,と思ったら言いづらい。やはり,専門の設備もない人が安易に他人に配るのは気を付けた方がいいと思う。善意が仇になるということはよくあることだから。それを簡単に美談として流すマスコミも,よく考えるべきだ。

 

 ということで,当面は布マスクはしないつもりだ。乾燥予防ぐらいにしか効果はないし,特に柄物は気持ちが悪いから。売っているものだって,きちんと衛生的な環境で作られたかどうか分からないものばかりだ。

 他人に大量に配った布マスクから感染が拡大した,なんてことのないことを祈る。

 

 

mora qualitasを使ってみた

 ソニーのmora qualitasの無料体験をしている。

 クラシックについて言うと,まだまだ曲が少ない

 確かに,CD1枚より安い値段でハイレゾ音源が聴き放題というのはすごいことだ。moraではハイレゾで配信していない曲がハイレゾで聴けるものもある。逆に,moraにあるのにmora qualitasにはないものもある。

 有料に移行するかは,もう少し使ってみて決めたい(できれば続けたいが,お財布と相談してになる)が,鍵は,曲の多さと検索のしやすさかなと思っている。

 

なぜ毎日夜中に記者会見するのか

 よその都道府県のことは知らないが,福島県の場合,新型コロナウイルスの感染者が出ると,毎日のように夜に知事が記者会見をしている。

 昨日(2020年4月25日)の場合,2人の感染者が出たということで,夕方のニュースでは21時30分から記者会見をすると言っていた。こんな時間に記者会見したところで,その後地方ニュースはどこもやらないし,誰が見るのだろう。今朝の新聞を見ても,記者会見でたいした話が出たわけではなさそうだし,わざわざそんな時間に記者会見をやる必要性がどこにあるのだろうか。

 知事が出てくるのでなくても,県が新型コロナで記者会見をするとなれば,マスコミだって駆けつけないわけにはいかないし(みんな交替で県庁に詰めているのかもしれないが,そうでないマスコミだってあるんじゃないか),準備する県庁の人はもっと大変なはず。いつも呼び出されてる医大の先生なんて,本業がほかにあるだろうに,毎度呼び出されて,お気の毒としか言いようがない。

 

 記者会見するにしても,時間というのがあるだろう。こんなときだからこそ働き方改革も考えてほしい。

 毎日,情報を出すのが福島県は遅いような気がする。ほかの都道府県はもっと締める時間が早いのではないか。あと1時間早くてもいいんじゃないか。そして,よほど重大なことがない限り,いちいち記者会見する必要はないのではないか。少なくとも,記者会見するなら夕方6時のニュースには間に合わないと意味がない。

 そのくせ,ホームページの更新はすごく遅い。感染者数は,翌朝にならないと更新していないようだ。

 しかも,新型コロナ関係でも,県のホームページのあちこちに情報が分散していて,必要な情報がどこにあるのかさっぱり分からない。

 そうとう現場は混乱しているのだろう。職員も疲弊しきっているのではないか。県庁は知らないが,福島市役所など,相当ヤバいという話だ。

 だからこそ,余計なことはやらず,本当に県民が必要な情報をタイムリーに出すようにすべきだ。

 それと,業務が増えて大変ならば,人を雇うべきである。役所の中でやりくりして対応しようとしているのなら,新型コロナのせいで職を失ったような方を短期間でも雇った方がいい。どうせみんな初めての業務なのだし,全員が正職員である必要はないだろう。正職員が残業してやるより,はるかに費用もかからないはずだ。

 

 一昨日の新聞には,県議会の議長が臨時議会を招集するとかいう記事が出ていた。5月中旬までになんて書いてあったが,予算ならさっさと専決でやるべきだ。マスクだって何だって,遅くなると買えなくなるし,値段も上がる。悠長なことを言っている場合ではない。だからといってまさか連休中にやるなんてバカなことを言うバカはいないだろうと思うが。

 

 

レコード芸術2020年5月号「新時代の名曲名盤500①」

 また始まってしまった。こないだやったばっかりじゃないか,と思ったら,前回は2014年5月号からだったというから結構前だが,完結したのが2016年4月号。その後MOOKが出て,さらに2017年11月号と2018年5月号に補遺のような企画があったので,やはり感覚的にはつい最近やったばかりだ。

 やったばかり感が強いのにはもう一つ理由があって,前回と作りがほとんど変わらないため。レイアウトがほとんど同じ。違うのは,前回までは10人で選んでいたのが8人に減ったこと。経費削減か。あるいは後述のように票がばらけすぎて収拾がつかなくなるからか。

 

 もういい加減やめらいいんじゃないかと,前回よりも前から思っているのだが,やめられないのだろう。

 やめた方がいい理由は,あまりにも票がばらけすぎて,「名曲名盤」のランキングとは言えなくなってしまっているから。

 そのことは,心ある人は思っている(た)のだろう。ついに,選者・執筆者自身がカミングアウトしてしまっている。

 今回の44ページ,ブラームス交響曲第1番のコメントで,1位のガーディナーが3人,2位のカラヤンが2人から票を得ただけで,後は全部1人しか票を入れていないという状況(結果,順位は1位,2位,3位,9位,15位となっている)に対し,増田良介氏が「もうランキングの体をなしていない」と書いてしまった

 よくこの1文をそのまま載せたなと思う。完全なる自己否定だ。編集部がきちんとチェックしていないのか,編集部事態がそう思っているのか。何せ,ランキングの体をなしていないのはこの曲だけでなくて,ほとんどの曲がそうなのだから。

 この手の企画を欲しているのは,おそらく,クラシック音楽初心者で,これから,名曲名盤と呼ばれるものから聴いていこうとする方たちだろう(自分も昔はそうだった)。それなのに,こんなランキングでは,本当にまず何を聴くべきなのか,およそ信用できない。初心者向けのガイドとしては全く役に立たないということだ。一方,レコ芸の長年の読者には,もはやこんな企画は不要なはず。

 上位に選ばれているCDも,初心者がまず聴くべきものとしては疑問なものが多い。

 ということで,もうやめるべき時期なのだろう。編集部も本当はやめたいのではないか。読者の反応を見て,これを最後にしようと思っているのではないか。だからあえて手抜きとも思えるような編集をしているのではないか。

 増田氏には,あえて書かせたのだろうか。まさかそこまでするとは思えないが。あるいは,増田氏には最後の良心が残っていたということか。「ランキングの体をなしていない」と書いてしまった後の増田氏の文章には力がない。それに対して,したり顔で御託をこねている矢澤氏の文章が何とも滑稽に見える。

 どうぞ,もうやめてください

 途中で打ち切り,というのもいいのではないか。黒歴史として,レコード芸術の歴史に残るだろう。

 

 さて,ランキングを見て思うのは,「ファウスト祭り」だなということ。もちろん,ヴァイオリニストのイザベル・ファウストのことである。

 ヴァイオリンの曲は,ほとんどがファウストのCDが1位になった。1位じゃないのは,そもそも録音していないブルッフを別にすると,バルトークのヴァイオリン協奏曲第2番(1位はコパチンスカヤ)とブラームスのヴァイオリン・ソナタ(1位はクレーメル)だけで,それでも両曲ともファウストは2位だ。「まさに旬」と普通なら言うところだが,好きなヴァイオリニストではないので,そう素直には言い難い。

 いつもそういう演奏家がいるものだが,今だとこの人を1番に挙げておかないと(バカにされる?)という人がいる。今はファウストがそうなのは間違いない。評論家がこぞって絶賛するのは,まずはこの人だろう。

 だが,なぜそんなに持ち上げられるのか,正直分からない。ここではあえて具体的にけなすのはやめておくが(いつか書きたい),謎だ。この後もずっと彼女の録音が名盤として残っていくのかには注目したいと思っている。

 

 

 月評を読んでいて一つ気になったので書いておく。

 協奏曲の岡部真一郎氏の評なのだが,複数の曲が入っているCDで,曲を示すのに,なぜか「○長調協奏曲では」とお書きになる。これだと,どの曲を指しているのか,巻末の一覧表を見ないと分からないのだ。何とも不親切だし,そう書く意味も全く分からない。学者先生なので,番号で書くのは下々の者のすることだとか,何かこだわりがおありなのであろうか。論文じゃないので,そんな書き方をする必要は全くないのに。

 例えば,1つ目のシラノシアンのタルティーニだと,2つ目の段落で「…とされているニ短調協奏曲では」と書かれているが,月評のページには調性は書かれておらず,作品番号しか書かれていないので,作品番号を書いてくれないとどの曲のことを書いているのか分からない。後から「もう一つのニ短調,後期のD45」とは書いているが,それならなぜ最初のニ短調の作品番号は書かないのだろう。

 次のリシャール=アムランのモーツァルトもそう。第22番が「変ホ長調」だと知っている人はいいが,知らない人だとどっちの曲のことを書いているのか分からない。収録順に書くとは限らないのだから。後から「続くハ短調協奏曲では」との記載が出てくるので,変ホ長調が第22番の方だという推測はできるが,こんな書き方だと,最後まで読んでもう一度読み返さないと何の曲のことを書いていたのか分からないということになる。別に,「第22番」「第24番」と書けばいいだけ(もう一人の相場氏は,当然そういう書き方をされている)。どうしても調性にこだわるなら,「第22番変ホ長調」と書けばよい。

 単なる想像力不足のこだわりなのか,わざと意地悪しているのか。

 いずれにせよ,こういう困った評を直させるのが編集者の仕事だと思うのだが,偉すぎて何も言えないのだろうか,それとも,そもそも気付いてもいないのだろうか。

 誤字脱字は一時期より減った気はするが,人名の不統一などは相変わらずだ。全体を俯瞰して見る人がいないのだろうか。

 

 

受動喫煙対策がまったくされてない福島県庁

 先日,福島県庁のそばを通りかかると,ちょうど桜が満開だったので見に行った。

 中庭というのか,本庁舎の南側の阿武隈川沿いには桜の木がたくさん植えてあって,とっても綺麗だった。お昼時で,県職員の人たちも眺めていた。

 すると,どこからかタバコの臭いが。見渡すと,喫煙所らしきものが2ヶ所あって,人が群がっていた。まったく囲いも何もなく,周囲に煙は垂れ流し。強烈な臭いだ。

 しかも,そこだけは人口密度がすごい。この新型コロナウイルス騒ぎの中,何をやってるんだと思った。

 

 法律のことはよく分からないが,こういう公共施設でまったく受動喫煙対策がされず,毒をまき散らして許されるのだろうか。法律以前の話だと思う。内堀知事の人としての姿勢の問題だ。

 

 多くの県民は知らないのだろうが,こんなことを許していいのか。

 せっかくきれいな桜を見たのに,すごく嫌な気分になった。

 

 

ポリーニのベートーヴェン ピアノ・ソナタ集

 マウリツィオ・ポリーニベートーヴェンのピアノ・ソナタ第30番,第31番,第32番を再録音した(グラモフォン UCCG-40096)。特に予告なく,いきなり発売の告知が出たので,驚いた人は多かっただろう。

 ポリーニといえば,1975年録音の第30番と第31番,1977年の第32番の旧録音は非常に有名でどれもがこれまで最高の名盤として紹介されてきたもの。

 なので,最近のポリーニの演奏からは,旧盤を超えるような演奏が聴けるのかどうか

非常に不安であったが,とりあえずすぐ予約して購入した。

 既に何度も聴き,旧盤とも聴き比べたが,今日,レコード芸術4月号に月評が載ったのも読んだので,感想を書いておくことにした。

 というのも,何とも評価が難しい感じがしたので,レコ芸でどういう評価がされるのかも非常に興味があったからだ。結果は「特選」。濱田,那須田の両氏とも絶賛と言っていいのだろう。

 

 新盤は,最近のポリーニのCDと共通していて,演奏自体は言わば「一筆書き」といった趣き。テンポが速く,細部にこだわるというよりは,全体の流れの良さを重視したような演奏。

 そして,旧盤との印象の違いを際立たせるのは録音で,残響が多く,ぼやっとしている。

 これまでと同じ,ミュンヘンのヘルクレスザールでの録音なのに,全く違う会場としか思えないような録り方。演奏の傷を隠すためじゃないのかと勘ぐっているのだが,どうなのだろう。この前に出たショパンの演奏もそうだった。

 

 旧盤と聴き比べて,やはり旧盤の方がよいと思った。そんなに聴き込んだCDというわけでもないが,旧盤は素晴らしい。圧倒的である。やはり,旧盤と比較すると新盤はかなり落ちると思う。録音も足を引っ張っているとしか思えない。

 だからといって,そんなに悪い演奏というわけでもないのも事実。これだけ聴いたら,かなりいい演奏だと思うのでは,とも思った。

 というわけで,ほかの演奏家の演奏(特に,第30番と第31番)を聴いてみた。

 いろいろ聴いたが,ポリーニが断然いい,というのが改めてよく分かったのと,新盤も非常に素晴らしい演奏だということ。

 これでもう少し残響が少なかったら,と思わずにはいられない。ポリーニ自身の指示なのか,グラモフォンのスタッフの考えなのか,気になるところだ。

 

 今回は,国内盤はMQA仕様で,MQA-CDを買ったのは初めてで,どうやったらハイレゾで聴けるのかが解説書添付の説明文を読んでもさっぱり分からないのには困った。

 FLACリッピングして対応機器で再生しようとすれば,「.mqa.flac」と拡張子を変えればいいらしいと分かったが,それでは不十分な場合があり,「MQATagRestorer」というソフトを使ってMQAファイルを作成した方がいいようだ。

 しかし,残念ながらまだ対応機器を持っていないので,楽しみはこれからなのである。

 

 

 ポリーニというと,1980年代後半~1990年代のいずれかの時期に腕を故障し,演奏に変化が生じたというのが大方の見方であり,実際そうだと思うが,その本当の時期や故障の原因・状況は謎に包まれている。

 特に時期については,人によって言うことが違うので,よく分からない。

 ライヴ録音が増えた(特に協奏曲)ことや,録音の感じが変わった(前述のとおり,徐々にかもしれないが,残響が多くなり,最近のはひどい)ことも原因だと思う。

 

 ポリーニが自分にとって最も重要なピアニストであることは変わりない。

 せっかくなので,特に好きなディスクを挙げておく(ABC順)。

バルトーク:ピアノ協奏曲第1番,第2番

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第15番《田園》

・ 同 第17番《テンペスト》(旧盤)

・ 同 第21番《ワルトシュタイン》(旧盤)

・ 同 第22番

・ 同 第25番《かっこう》

・ 同 第26番《告別》

・ 同 第28番

・ 同 第29番《ハンマークラヴィーア》

・ 同 第30番(旧盤)

・ 同 第31番(旧盤)

・ 同 第32番(旧盤)

ショパン:ピアノ・ソナタ第2番《葬送》(旧盤)

・同:舟歌(旧盤)

・同:子守歌(旧盤)

ドビュッシー前奏曲集第2巻

・リスト:ピアノ・ソナタ

モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番

プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第7番《戦争ソナタ

シューベルト:ピアノ・ソナタ第20番

・ 同 第21番

 

曲自体が好きなものを挙げているので,その曲でのベスト演奏,ということで言うと,ほかにもあるかもしれない。

 

 

Windowsでファイル名を変更するときの挙動の変更

 Windowsエクスプローラなどでファイル名を変更するときは,F2キーを押して変更するわけだが,その際のキー操作の挙動が変わってしまった。

 ファイルを指定してF2キーを押すと,ファイル名が範囲指定されるわけだが,いつからか忘れたが,拡張子は除いて範囲指定されるようになっている。

 そこまではWindows7でもWindows10でも同じだったが,その後,「←」キーを押すと後ろから1文字目の前にカーソルが移動していた。

 ところが,いつの間にか,ファイル名の先頭にカーソルが移動するようになった。

 

 以前は,F2キーを押した後,「Home」キーを押すと先頭に移動していたはずで,いろいろググるとそういう説明が出てくる。しかし,「Home」キーを押したときの挙動は同じだが,「←」を押したときの挙動が上記のように変わってしまった。

 どうも,Windows10のアップデート1903を入れてから変わったように思うのだが,別のパソコンではその前からそうなっていたりしていて,いつからそうなったのかははっきりしない。

 

 なぜこうなったのかを調べたが,そのことを書いた記事は見当たらなかった。

 慣れないので困る。

 

 ところで,どのキーを押すとどうなるのかやってみたところ,「←」と「↑」は同じで,ファイル名の先頭にカーソルが移動し,「→」と「↓」も同じで,拡張子の直前でカーソルが点滅する。

 そして,コントロールキーを押しながら「←」か「↑」を押すと,これまでどおり後ろから1文字目の前にカーソルが移動する。

 また,SHIFTキーを押しながらだと,範囲指定されている範囲が1文字少なくなる(最後の文字が範囲指定されなくなる)。

 

 ちょっとしたことだが,こういうところが操作性に大きく関わってくるので,変えるときはきちんとアナウンスしてほしい。

 

 

レコード芸術2019年12月号「モーツァルト三大交響曲の魅惑」

 『レコード芸術』の2019年12月号の特集は,「モーツァルト三大交響曲の魅惑」。本屋で見た瞬間,大いに期待した。こういう企画は購読し始めてからはおそらく始めてだし,何よりモーツァルトが大好きだし,どうも最近,モーツァルトが軽く扱われているような気がしてならなかったので。

 

 しかし,期待は脆くも裏切られた。ざっとページをめくった瞬間,ダメだと思った。

 

 まずは,矢澤孝樹氏の「「3」の魅惑と迷宮」という,いつものようにどうでもいい文章が4ページも続く。三大交響曲とほとんど関係ない話が延々と。ほんと勘弁してほしい。

 

 次が西原稔氏による「18世紀交響曲史」。これは10月号の交響曲特集でやる内容だろう。内容は立派だが,モーツァルトの三大交響曲には直接関係ないことがこれまた延々と4ページも。

 

 そして,安田和信氏による「モーツァルト交響曲史」。ここからが本題。導入としてはこれだけで十分。4ページ。

 

 そしてやっと三大交響曲のページ。それぞれたった3ページずつ。

 第39番が相場ひろ氏,第40番が広瀬大介氏,第41番が寺西肇氏。広瀬氏だけ毛色が異なり,編集者がコントロールできてないことがはっきり分かる。

 

 その後は落穂拾ひで,本田裕暉氏による「三大交響曲の先駆け」が3ページ。

 

 と思いきや,小室敬幸氏による「《ジュピター》フィナーレ徹底解剖」が来る。まさにこの特集ならではだが,《ジュピター》の第4楽章だけで4ページは長い。いや,いいのだが,《ジュピター》の第4楽章だけ?

 タイミングを示すのに使われるCDがアーノンクール指揮ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス盤なのだが,アーノンクールの演奏の特徴を書いているわけではないので,こういうときはもっと広く知られている(売れている)CDにすべきではないか。10月号の交響曲の特集のときもそうだったが,読者のことを考えてない。編集者と執筆者の自己満足にしか思えない。どうしてもアーノンクールのを使いたいのなら,レコ芸読者なら誰でも持ってそうなCD(例えば,《運命》ならクライバーとか)のタイミングも併記すべきだ。

 

 最後は小宮正安氏による「1788年のモーツァルト」。これが一番まともな内容だったかもしれない。

 この文章の内容を分解して,より詳しくすれば,充実した内容になったと思う。

 

 つまり,せっかく三大交響曲の特集をしているはずなのに,三大交響曲のことはちっとも書いておらず,どうでもいいことばかりで,欲求不満になる。明らかに編集者の力量不足だろう。

 各交響曲の基本データも書いてないし,謎とされてきた作曲の経緯のは,それぞれの記事に最近の説が断片的に書いてあって(小宮氏のものが一番詳しいが),重複している。名盤を挙げていてもわずかなコメントだけで比較した書き方にはなっていないし,そもそも各交響曲の魅力や聴き所,逸話,往年の指揮者などによる評価(コメント)といったものがほとんど書かれていない。

 もっとも,こういうことを書ける評論家が減ってきているということもあるのかもしれない。例えば,かつての三浦淳史さんとかが書いてくれたようなもの。

 

 

 このところ,題材はいいが中身が全然ダメという特集が続いているので,残念だ。

 もっと,初心者でも取っ付きやすい記事(そして,マニアでも「そうだったか!」とうならせるような)を載せないと,読者はどんどん減ってしまうのではないか。

 

 結論。「モーツァルト三大交響曲の魅惑」というタイトルには偽りあり。全然魅力について書いてない。

 

 

SONY Music Center for PC 2.20

 2019年10月24日にリリースされたソニーの音楽管理ソフトMusic Center for PC 2.2.0の使用感について,気が付いたことから雑多に書いておく。

 比較するのはMusic Center for PCのver.1。ver2.0と2.1はほとんど使っていないので。

 

 起動はver.1より圧倒的に速くなった。比較にならない。Media Goほどは速くないが,十分使用に耐えるレベルになったと思う。

 ver.1は,何分も待たされたあげく,曲が1曲も表示されないということがあったが,さすがにそんなことはなさそう。

 

 曲の取込みは,ver.1からバージョンアップしたときにライブラリの取込みをしたときの様子からすると,それなりに速そうだ。もっとも,そもそも取り込むという概念がないMedia Goとは比較にならないが。

 

 終了時の動作も,ver.1やx-アプリのように,曲を取り込んだあとはライブラリの更新に何十分もかかり,いつまでもパソコンをシャットダウンできないというようなバカなことはない。

 

 

 ライブラリをリスト表示にしたときは,ver.2.0と違って,かなりまともになったと思う。文字や表示間隔が小さくなったので。この辺は,曲を大量に取り込んでいる人と,それほど取り込んでいない人では感じ方が違うのだろうが。

 それよりよかったのは,並べ替えの自由度が増えたこと。

 x-アプリやver.1では,並べ替えの条件は1つだけで,例えばアーティスト名で並べ替えた場合,その中でのタイトルの並び順はリリース年順にしかならなかった。

 しかし,ver.2.2では,先にタイトル順で並べ替えておき,その後アーティスト名で並べ替えると,同じアーティストの中での並び順はタイトル順となる。先にリリース年で並べ替えをしてからアーティスト順にすると,同じアーティストの中での並び順はリリース年順となる。これは便利だ。

 

 

 ver.2.1から,「ライブラリーからリンク切れで再生できない曲を一括検索する機能」が追加されていた。

 自動で追随してくれるMedia Goだとなくてもあまり困らない機能なのだが,ファイルの管理方法が根本的に違うのでしょうがない。

  フォルダやファイルの名前や場所を変更したときに便利そうだと思ったが,たいして便利ではなかった。

 単に検索してフラグを付けるだけ。そのまままとめてライブラリから削除できる,といったことはできない。

 なので,曲表示にして「情報」で並替えし,そこでまとめて削除するしかない。

 

 

 ver.2.2の目玉は,ATRACファイルをFLACAACに一括変換できることだろう。

 まず,FLACAACのどちらに変換した場合でも,完全にギャップレス再生に対応していることが確認できたAACウォークマンで再生した場合に限るかもしれないが)。Media GoATRACからFLACに変換したときは不完全だった(曲間にノイズが入ることがある)ので,大きな進歩だ。

 

 一括変換する場合,FLACAACかと,返還後にATRACファイルを任意のフォルダに移動させるかどうかしか選べない。

 AACでは,ビットレートは選べない。試しに256kbpsのATRAC 3 PlusのファイルをAACに変換した場合はビットレートが256kbbpになっていた。同じビットレートになるのか,256k固定なのかは,これから検証したい。

 

 FLACへの変換がどのくらい使えるのか,やってみた。

 まず,49,000曲ほどライブラリにある状態で,9,700曲ほどのATRAC3Plusのファイルを取り込んだ。取り込むのには10~15分ほどしかかからなかった。これがver.1やx-アプリなら,何日もかかっただろう。

 この取り込んだATRACファイルを一括変換でFLACにしたところ,およそ半日(12~13時間)かかった。夜寝ている間にできるくらいなので,許容範囲だろう。問題は,途中でフリーズしないかだが,これも大丈夫だった。

 しかし,変換後に問題が発生した。

 アートワークが反映されないアルバムが大量に発生したのだ。というか,変換後はアルバムごとにアートワークが反映されるのだが,それが完了する前にプログラムが勝手に終了してしまったのだ。

 一度ライブラリから削除し,改めて取り込めば大丈夫なので,アートワークのないアルバムを一旦全部ライブラリから削除し,取り込み直したら,同じ現象(プログラムが勝手に終了)が発生し,時間の無駄になってしまった。

 そこで,作業を分割してやってみたところ,無事完了することができた。

 

 

 編集機能はまだまだ改良の必要がある。

 例えば,CDから曲を取り込む際や,取り込んだ曲を編集する際に,F2キーを押して曲名等を変更することができないのは,非常に不便だ。

 いちいちプロパティを表示させないといけない。

  曲の結合ができないのも不便。うちのカーナビはギャップレス再生に対応していないので,よく聴く曲は結合したファイルにし,ギャップなく聴けるようにしておきたいのだ。

 

 だいぶマシにはなったが,まだまだMedia Goを手放すわけにはいかないことが分かった。

 当面の使い方としては,リッピングと編集はMedia Go,再生はMusic Centerというのがいいと思う。

 再生するにはリスト表示と柔軟な並替えができるのが非常に便利だし,何よりDESS HXが使える。

 ウィンドウの上の方に大きな字で「曲」とか「アルバム」とかの表示が出るが,その右側が何もなく空いていて,もったいない。ver.1などのようにスペアナを出せるようにするか,せめてレベルメーターでも表示できるようにすると格好いいと思う。

 それと,「停止」ボタンがなく,「一時停止」だけで,別なアルバムの中の曲を再生しようと思うとダブルクリックしないといけないのは不便な感じがする。ワンクリックで選択,再生ボタンで再生というのが普通じゃないだろうか。確かに,スマホのアプリなどではこういう流れなのかもしれないが,パソコンで使うには不自然に思う。

  あとは,起動するたびにリストの一番上が出るのも変だ。前回再生(選択)していたアルバムのところが出るようにしてほしい。

 

 

本当のATRACの終焉が来た

 2019年11月発売の新型ウォークマン(ZX500シリーズとA100シリーズ)が,ついにATRAC系フォーマット非対応になるらしい。

 いつかは来るとは思っていたが,ソニーには,それならそれで救済措置をきちんと考えてほしい。つまり,今あるATRAC系のデータをどうするかということだ。

 

 しかし,残念ながら,これまで散々迷走してきたソニーに期待するのは厳しいので,自分で何とかしないといけない。

 ATRAC系は非可逆圧縮なので,それを同じ非可逆圧縮のmp3やAACに変換したのでは,音質の劣化は避けられないし,ATRAC系の売り(?)であったギャップレス再生には完全には対応できない。

 となれば,FLACに変換して引き続き聴けるようにするのが一番いいということになる。もちろん,著作権保護されていないファイルしか無理だろう。幸い,既に著作権保護された曲は持っていないので,問題ない。

 

 幸い,今の最悪なMusic Center for PCでなく,前のバージョン,そしてMedia Gox-アプリがある(SonicStage CPは,Windows 10の1903にしたら使えなくなった)ので,これらを駆使して何とかしようと思う。

 

 一番簡単なのは,Media Goを使って直接FLACに変換する方法である。これはいろんな方が書いているので,Media Goさえ入手できれば,非常に簡単な方法である。ビット数とサンプリング周波数を間違えさえしなければよい(ATRAC系は16bit/44.1kHzだが,16bit/48kHzも選べる)。

 ところがここに大きな落とし穴があった。Media Goで直接FLACに変換すると,曲間にノイズが入る場合があることが分かったのだ(Media Goはギャップレス再生には不完全にしか対応していないので,ウォークマンに転送して検証した)。

 これには困った。

 もっとも,曲の両端が無音の曲であれば実質的に問題はないだろうが,オペラなどではダメだ。試したところ,「ポツッ」という音が半分以上の確率で入ってしまっていた

 解決する方法が一つあるが,かなり手間にはなってしまう。

 一旦WAVファイルに変換し,それを更にFLACに変換すれば,曲間にノイズは入らない

 まず,x-アプリ(かMusic Center for PC)でWAVに変換する(Media GoはWAVに変換できない)。そしてこれをMedia GoFLACに変換すればよい

 とりあえず,x-アプリでWAVに変換すれば,曲間にノイズが入らないことは確認できた。Media GoでWAVからFLACに変換する際にはノイズは入らないはずなので,大丈夫なはずだ。

 これがおそらく一番確実だが,WAVはタグ付けが不完全だし,直接FLACに変換するのに比べると,時間も手間もかなりかかってしまう

 Media Gox-アプリに変換するファイル以外を取り込んでいなければそれほど面倒ではないが,ほかに膨大な曲がある中で変換作業をするのは,一気にやろうとすると曲が迷子になってしまいそうで怖い。

 

 ソニーには,ATRACに最後まで責任を持ってほしい

 ぜひ,ATRAC系ファイルをほかのフォーマットに変換するための専用のソフトを作ってもらいたい。それがユーザーに対する責任だし,これまで散々迷走したために(今も迷走しているわけだが)迷惑をかけたユーザーから信頼を得る方法の一つになる。

 どうせだから,FLACだけでなく,MP3でもAACでもWAVでもMQAでも,手軽に完璧に変換できるソフトを出してほしい。例えば,ギャップレス対応のために一度WAVに変換するようなモードがあってもいい(その分変換には時間がかかるが,タグ情報を完璧に引き継いで自動でやってくれればいい)。

 以前は,MP3に変換するための「MP3 Conversion Tool」をいうのを出していたこともあるではないか。

 

 本当にお願いします。ソニーさん。その上で,Music Centerを何とかしてくれれば,これからも安心してウォークマンを使い続けられると思いますよ。

 

 今回の新型の発表を受けて,まだ引き続き発売されるA50シリーズを買おうかとも思ったが,今使っているF887がまだ使える(バッテリー交換したので)うちはどうしようかと悩んでいるところ。

 しかしやはりいずれはATRACは終わるので,F887が壊れるまで,FLACに変換して来たるべき日に備えようかと思う。

 

(追記)

 いまだにMusic Center for PCはバージョン1を使っていて,バージョン2にする気がさらさらなかったので気が付かないでいたが,2019年10月24日リリースのバージョン2.2.0にATRACファイルを一括してFLACAACに変換する機能がついていた

 このアップデートではかなり大がかりな変更が行われていて,ソニーのホームページによると,アップデートされた主な内容は次のとおり。

  • Walkman® NW-A100シリーズとNW-ZX500シリーズを対応機器に追加
  • Music Center for PC の表示色を変更する機能を追加 (ブラック、レッド、ブルー、グリーン)
  • マイライブラリーをバックアップおよび復元する機能を追加
  • マイライブラリーのアルバム、最近追加した曲、プレイリスト画面上で一覧を表示する機能を追加
  • マイライブラリー内のATRACを検索し、AACまたはFLACに一括変換する機能を追加
  • マイライブラリ―内でリストの表示間隔を変更する機能を追加
  • マイライブラリ―内の曲をFLAC形式で保存する機能を追加
  • マウスホイールで音量調整できるように改善
  • 画面解像度が低い場合の使い勝手を考慮し、メインウィンドウの最小サイズを変更
  • Media Goで作成したプレイリストをライブラリーから削除したにも関わらず、再び取り込まれることがある問題を修正
  • その他、動作安定性、パフォーマンスの向上

 

 さっそく,サブ機に入れていたMusic Center for PCをアップデートして,幾つかのATRAC 3 PlusのアルバムをFLACに一括変換してみた。

 使い勝手なども含め,詳しくは改めて書こうと思うが,Media GoFLACに変換したときとは異なり,曲間でノイズが発生するということはなかった

 現時点での問題は,変換する曲を選べないので,1万曲近くあるファイルを変換するのにどのくらいの時間がかかるのか,ということだ。

 

 少なくとも,バージョン1よりは良くなっているように思えたので,メイン機のパソコンもアップデートしてみて,動作を検証してみようと思っている。

 

 

Windows Update 1903の悪影響

 Windows 10のMay 2019 Update (1903)を適用してから,いくつかのソフトの動作が遅くなって困っている。

 古いソフトに顕著で,何とかしてほしいのだが,何とかしてもらえなそうなソフトばかりなので余計に困っている。

 

 実はいまだにSONYのMusic Centerは旧バージョンを使っている。新しいのは,機能も省かれたし,何よりインターフェイスが最悪で,全く使う気にならず,サブ機のパソコン(Windows 7)でテストはしているが,メインのパソコンは旧バージョンのまま。なので,新バージョンだとどうなのかは分からないのだが,1903を適用してから明らかに遅くなった。

 ほかには,SonicStage CPが使えなくなった。

 しょうがないのでx-アプリを使っているのだが(ATRAC 3のデータがたくさんあるので),これがまた遅くてどうにもならない。

 

 一方,Media Goは全然問題なしである。

 何が違うのか,とにかく解決策を知りたいのだが,すっかりマイナーなソフトになってしまったので,ググっても全然出てこない。

 1903の前に戻すしかないのだろうか。

 

 

ネルソンス指揮ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲全集

 アンドリス・ネルソンスウィーン・フィルを指揮したベートーヴェン交響曲全集が発売された(ドイツ・グラモフォン UCCG-40091/5)。

 国内盤はMQA/UHQCD(第1番~第5番,第9番(24bit/176.4kHz),第6番~第8番(24bit/96kHz))で,輸入盤は通常のCDとブルーレイオーディオ(24bit/96kHz)のセット。

 ブルーレイオーディオは,再生が面倒だし,パソコンでリッピングできない(特殊なソフトを使えばできるが)ので,将来性を考えてもMQA-CDの方が有利だと思うが,値段が全然違うので,輸入盤を購入した。

 まだ全部は聴いていないのだが,現時点での感想を。

 

 まず,このチクルスは,2016年1月の第3番《英雄》から始まるはずだった。

https://www.universal-music.co.jp/andris-nelsons/news/2016-05-23_news02/

 このときの演奏会の感想は既に書いたが,その時はあまりいい印象は持たず,期待できないなと思ったのだが,発売されたCDでは,この時の演奏ではなく,2019年4月に新たに録音されたものが収録された。

 その辺りのことはユニバーサルのHPを見ても書いてないし,レコード芸術の11月号の記事でも全く触れられていない。

 大々的に発表したのだから,理由が知りたいところだ。

 なお,ユニバーサルのHPをはじめ,ライヴ収録と表示されているが,少なくとも録り直しとなった第3番はライヴではない。その時期に演奏会をやっていないからだ。ほかの曲も,演奏会に合わせて収録されているが,ノイズはほぼ皆無であり,スタジオ収録に近いと思われる(ティーレマンの全集とは違う。ティーレマンのは結構会場ノイズが大きかった)。

 

 ざっくり言うと,予想に反して,全体としては気に入った。

 HIP系の演奏でなく,ベーレンライター版でもない。

 両端楽章とスケルツォは元気がいいが,だからといってものすごく速いテンポで突っ走るわけではない。緩徐楽章は遅め。じっくり,こってりという感じ。音を長めに取るので,せわしない感じがないのがいい。

 だからといって,ティーレマンとは違い,中身は濃いように感じた。

 全体にバスが強めで,再生環境によってはうるさいくらいに感じることもあった。

 そして何より特徴的なのは,ホルンをかなり豪快に鳴らしているところ。ウィンナ・ホルン好きにはたまらないだろう。第九が特に印象的で,1987年のアバドとの来日公演を彷彿とさせるところがある(あれほどすごくはないが)。ウィーン・フィルの音が好きで,それを聴かせたいんだな,と思わせる演奏だ。ただ,どうせならもっと決然と鳴らしてほしいと思ったところもあって,だらしない感じがするところもあった。

 もう一つ気になるのは,ときどき力みすぎて流れが悪いところがあるところ。この人のクセだろう。

 今どきの演奏にしては珍しいこととして,リピートを省いている楽章があることも挙げられる。《田園》の第1楽章,第7番の第1楽章と第4楽章,第九の第2楽章でリピートをしていない。特に《田園》の第1楽章は珍しい。

 

 楽譜のことはよく分からないが,ベーレンライター版でないのは聴いていて明らかで,ほかには次のような特徴があった。

 まず,有名な《英雄》の第1楽章の終わり近くのところは,トランペットに旋律を吹かせている。2016年のライヴでは1回目だけ最後まで吹かせて,2回目は吹かせないというやり方だったが,CDでは2回とも吹かせている。

 問題の多い第九は,第1楽章の第2主題のフルートとオーボエはBフラット(ブライトコプフ版),第2楽章では控えめだがホルンで補強しているように聞こえる,第4楽章のホルンのリズムは旧来通り,といったところ。また,レコード芸術11月号の「最新盤レヴュー」で松平敬氏が指摘しているとおり,最後の音でピッコロの音を1オクターブ上げている。これはアバドの1996年盤でもやっている。ネルソンスは,第九の最後の方で随分ピッコロを強調しているし,第5番の第4楽章でも同じようにかなりピッコロを強調させているので,ピッコロが好きなのだろう(下品に聴こえるのだが)。

 そのほか,詳しくはレコード芸術の12月号の月評で金子建志先生が解説してくれるだろう。

 

 いち音楽ファンとしては楽しめたが,スタイル的に評論家泣かせの全集になるのではないかと思う。もっとも,ティーレマンほど否定的な意見も出ないようには思うが。

 

 

最悪だった大友版わらじ音頭

 今さらだが,今年の福島わらじまつりから,わらじ音頭と踊りがリニューアルされた。お披露目は6月の東北絆まつりで。

 

 非常に残念な音楽と踊りになってしまった。

 全然盛り上がらない。

 今までのダンシングそーだナイトは確かにシュールだったが,盛り上がってはいた。

 大友版は,ノリは悪いし,歌は細切れでどんな歌だかさっぱり分からないし,踊りは子供でも年寄りでも踊れますといった感じ。

 

 おそらく,踊りはみんな勝手に振付を変えて踊るようになるだろうが,音楽はどうにもならない。

 いつかはまたリニューアルと称して大友版は駆逐されるだろうが,すぐというわけにはいかないから,それまでわらじまつりがどうなるか,心配だ。

 

 東北絆まつりでも,わらじまつりが圧倒的に見劣りしていた。

 これから毎年こんなのでは,見る人も踊る人も減ってしまうのではないか。

 

 大物になってしまった大友氏には,誰も文句をつけられなかったのだろう。

 残念でしかない。

 

 

カラヤンの遺産 ブルーレイ

 2019年7月10日にソニークラシカルから発売になったカラヤンの遺産シリーズのブルーレイから,1985年11月24日の万霊節メモリアル・コンサートでのブルックナー交響曲第9番が入ったディスク(SIXC24)を買ってみた。

 

 DVDは持っていなかったので,比較はできないが,収録時期が約1か月後と近く,同じくZDFが収録したジルヴェスターコンサートと比較しながら視聴した。

 

 まず,今回の目玉はbシャープによりリ・レコーディングされた音声にあるはずだが,パッケージのどこにも記載がない。音声(3種類)の2番目として「2.リニアPCM/STEREO (48kHz/24bit) [remaster]」と小さくかいてあるだけ。

 ちなみに,1番目は「1.リニアPCM/STEREO (48kHz/24bit) [original]」,3番目は「DTS HD Master Audio/5.0ch サラウンド (48kHz/24bit)」と書いてある。

 何というソニーのやる気(売る気)のなさ。

 レコード芸術の記事を読まなければ,単なるリマスタリング音声「も」入っているだけ,としか思えなかった。

 

 その音声だが,聴いた印象としては,リ・レコーディングの方が音の固さが取れ,左右の広がりが大きくなったように感じた。

 ただ,どれだけ違うかと言われると,はっきり言ってよく分からない。

 

 画質は,DVDよりもざらつきが少なく滑らかになった感じはするが,元がSD画質でのビデオ収録なので,解像度がよくなった感じはない。

 以前,NHKがフィルム収録された70年代のものをHD化したときのような衝撃は,全くない。

 それに,通常,HD化すると,字幕などは綺麗になるものだが,この辺は全く手つかず。帯に「LD(レーザーディスク)用のマスターからアップコンバートしてBD(ブルーレイディスク化)しております。収録が1980年代でビデオ時代の画質のため,オリジナル・マスターテープに起因する映像ノイズがある場合もございます。ご了承ください。」と書いてあるが,そのとおりとしか言いようがない。

 つまり,特別なことは何もしてない,ということだ。

 

 結論を言うと,お金持ちの人以外,DVDを持っているなら,買い直す必要はない

 大変残念だ。

 

 

 今回のbシャープによるリ・レコーディングの記事を読んで思ったのは,確かに面白いが,流行らないだろうな,ということ。

 

 それならいっそ,誰かが録音し直したらどうかと思った。いわゆる「完コピ」というやつだ。録音だけでない。演奏会でやってもいいし,「題名のない音楽会」や「らららクラシック」みたいなテレビでやってもいい。みんなの前で,似てるか判定してもらってもいい。

 クラシックの世界では,ありそうでなかったが,オケの技術が上がったと言われる今日,昔のカラヤンベルリン・フィルを完コピするというのはどうか。ほんと,誰かやってみてほしい。できればアンチ・カラヤンだという指揮者にやらせてみたい。「できるけど好きじゃないからこういう演奏はしない」のか,「やっぱできない」のか。

 シン・ゴジラのサントラを作るときに,似たようなことをやっている。結局は映画では使わなかったようだが,伊福部昭作曲の曲を,オリジナルのモノラルのサントラに,そっくりに演奏したステレオの録音をかぶせたのだという。

 

 ほんと,誰かやらないだろうか。例えば,最近1966年の来日公演がCD化たが,あの中の何かの曲を,日本の指揮者とオーケストラが完コピして録音するのだ。やっぱりできないかな。

 

 

カラヤンの遺産1982~1988

 前にも書いたとおり,カラヤンが1980年代にテレモンディアル社で制作した映像作品のうち7タイトルが初めてブルーレイ化された。

 

 まだ買っていないのだが,「レコード芸術」8月号150ページ~153ページに,西村祐氏の記事が出た。

 

 それによると,今回のブルーレイ化の一番のポイントは,bシャープという会社がによる音声の「リ・レコーディング」だそう。大阪でのライヴを除く6タイトルにこの「リ・レコーディング」の音声が入っているとのこと。

 ごく簡単に言うと,録音会場でオリジナルの音声を大音量で再生し,それを改めて録音し直すというもの。

 ありそうでなかったやり方だが,クラシック以外の世界なら,あらかじめ録音していたものを会場で流して,それを含め映像収録するというのは普通にあることなので,珍しい発想ではないのかもしれない。しかし,クラシックでは初めてではないか。

 大阪のライヴも,ホールは今もあるのだからやってもらいたかった。もっとも,ほかのタイトルと比べて映像と音声のクオリティが段違いに低いので,そっちの方が理由だったのかもしれない。

 

 残念ながら,西村氏の記事では,「実際に比較してみると,豊かだが混濁しないホール・トーン(bシャープのスタッフはドライと感じていたらしい)はそのまま,楽器そのものの音にはフォーカスが定まり,とても自然でワイルドな音になっている」と簡単なコメントがあるだけで,個々のタイトルごとの評はない。

 映像も,「LDマスターからアップ・コンバートされ,とても見やすく,それでいて現代風のクリアなものではない,陰影に富んだ美しさを持つ。全体に明度は高くないけれど,カラヤンの映像に対する美学をふんだんに味わうことができる仕上がりである」と,こちらもブルーレイ化でどのくらい画質がアップしたのか,詳しい比較がされていないのが残念。

 ぜひ,オーディオのページでオーディオ評論家の方による詳しい記事を載せてほしい。

 

 それにしても,ソニーはどのくらい力を入れているのだろうか。レコード芸術の広告では「日本独自企画」とあるが,音声については「ベルリンのbシャープ社によるリマスター音源」も収録と書いてあるだけで,リ・レコーディングの説明は一切なし。

 ソニーのホームページでは簡単な説明があるが,どれだけ画期的なものかといった力の入った説明ではない。

 

 

 今年はカラヤン没後30年,生誕111年ということで,昨年あたりからライヴ音源がCD化されている。

 日本では,キングレコードからNHKが1960年代の来日公演時に収録したものを中心にCD化している。とても買い切れないのが残念,音もそれなり。

 

 個人的には,1970年代後半から1980年代のライヴのCD化をぜひぜひお願いしたい。いまはほとんど手に入らないと思うが,以前は1980年代のライヴがかなりの枚数CD-R盤で出ていた(海賊盤と言っていいのだろうが)。

 おそらくFM放送されたものなどをCD-Rにしたものなのだと思うが,ものにもよるが,かなり高音質のものもあって,放送局に音源が残っていれば,最新録音にも負けないかなり高音質のものが期待できるはず。

 映像も,NHKやZDF,ORFなどに残っていないだろうか。

 特に日本だと,1960年代のカラヤンが好き,という方が多いのかもしれないが(そういう方々は,年齢層も高いし,購買力もあるのだろう・・・),最晩年の演奏もお願いしたい。