しばらくぶりに再びApple Musicを利用し始めたことは前に書いた。
Apple製品は一つも持っていないので,Windows(Windows 10)とAndroid(スマホ/タブレット)で使用している。
これまでにいくつか不具合が分かっているので,書いておくことにする。Android端末は,スマホもタブレットも最新型ではない。特にスマホはかなり古い。タブレットはDolby Atmosに対応しているが,スマホはしていない。
ユジャ・ワンの最新アルバムであるラフマニノフのピアノ協奏曲全集に入っている《パガニーニの主題による狂詩曲》を聴いていて,ハイレゾ(ハイレゾロスレス)と非ハイレゾ(ロスレス)が混在していることが分かった。1曲目と2曲目はロスレス,3曲目はハイレゾロスレス,4曲目と5曲目はロスレス,6曲目はハイレゾロスレス,と,ランダムにハイレゾロスレスとロスレスが入れ替わる。
これは以前,Amazon Musicでも指摘したが,少なくとも最新録音でこういうことは見なくなっていた。それに比べると,Apple Musicはかなりひどい。
しかも,Amazonでは,曲が一覧表示されている画面から音質がすぐ分かるが,Appleでは再生してみないと分からない。
また,Apple Musicでは,ハイレゾロスレス,ロスレス,Apple Digital Mastersという3種類があるようなのだが,それぞれの定義がはっきりしない。
通常,ハイレゾというと,CDを超える高音質のもの,とされており,具体的には,CDの44.1kHz/16ビットとDATやBS Bモードの48kHz/16ビットを超えるものを言うことが多い。しかし,Apple Musicでは,44.1kHz/24ビットをロスレスとしており,ハイレゾ扱いしていない。Amazon Musicでは,44.1kHz/24ならハイレゾ扱いである。
そして,Apple Digital Mastersというのがさっぱりわからない。どうも,ロッシー音源のことを言っているようなのだが,ホームページ上のAppleの説明を読んでも,何のことかまるで分からない。
2 ギャップレスに対応していない曲(アルバム)がある
1で例として取り上げたユジャ・ワンのラフマニノフだが,ハイレゾロスレスは曲間で一瞬途切れ,ノイズが入る。つまり,ギャップレス再生に対応していないということだ。ロスレスからロスレスの場合はそんなことはないので,前の曲と後の曲のどちらかがハイレゾロスレスだと,一瞬途切れノイズが入る。
Apple Musicの仕様なのか確かめるため,他のアルバムを聴いたところ,カラヤンの《ジークフリート》ではハイレゾロスレスだがギャップレスだった。提供された音源あるいはAppleが曲を提供する際の問題のようだ。
しかしこれは,かなりマイナスだ。Dolby Atmosでも同じで,後述のとおりである。
ちなみに,ワンのラフマニノフについては,全曲がロスレス/Dolby Atmosで提供されているAmazon Musicの場合,完全にギャップレスになっている。
Apple MusicアプリがWindowsでも提供されるのに伴い,Windowsでもハイレゾロスレス/ロスレスに対応したとされている。設定画面には設定するところがある。
しかし,実際に曲を聴いてみると,どうもロスレスではないように思われる。曲のプロパティを見ると(Androidにはない),どの曲もビットレートが256kbps,サンプルレートが44.100kHzと表示されるのだ。また,ファイルサイズもロスレスにしては小さすぎる。
Androidだと,実際に再生されている音質を簡単に確認できるのだが,Windowsだと確認できない。聴いた感じでは,2で書いたギャップレスの有無も含めて考えると,少なくともハイレゾロスレスではないようだ(ギャップレスになっているので)。
この問題は,これからも追跡したい。
4 Windows版の動作が遅く,不安定
Android版も決して安定しているとは言い難いのだが,Windows版はもっとひどい。動作がもっさりしており,イライラすることがある。明らかにAmazon Musicより遅い。
また,動作が不安定で,ノイズが入ったり途切れたりすることもある。通信環境の問題ではないと思っている。
5 Dolby Atmosの対応が不十分・ギャップレス非対応
Apple Musicは,端末自体がDolby Atmosに対応していないとダメなのだが,Amazon Musicは,端末自体がDolby Atmosに対応していなくても,Dolby Atmosで再生できる。これが本当にDolby Atmosの音なのかは分からないのだが,少なくとも,Dolby Atmos以外の音質を選んだときとは全く違うし,音に広がりがあるように聞こえるので,全然デタラメなのではないと思う。この辺の仕組みは分からない。
Amazon Musicでは,音質を簡単に切り替えることができるので,違いを比べることが容易だ。しかし,Apple Musicには再生中に切り替える画面がないので,比較が難しい。
しかも,うちにあるDolby Atmos対応のタブレットだと,なぜかDolby Atmosでも再生ができない。音が出ない上に動作が不安定になるのである。これも,端末の問題なのかアプリの問題なのかは分からない。ただし,Amazon Musicではこのような不具合はない。
(追記)
その後,Dolby Atmos対応のスマホで動作を確認できた。上記のユジャ・ワンのラフマニノフでは,ハイレゾロスレスと同様,曲間でギャップが発生する。これも致命的だ。
以上のように,Windows/Android環境では,Apple Musicはまだまだ不安定である。Amazonにも多数問題点はあるが,今のところ,安定して聴くにはAmazonの方がよさそうである。
なお,聴ける曲はAppleの方が多いように思うし,Amazonは,以前指摘したユニバーサルのCD初期の音源の曲の最後が切れているものがあるとか,そもそもアルバム内の曲の一部が欠落している(聴けないようにしているのではなく,そもそも欠落している),アプリが重くバッテリーの消費量が大きい,といったかなり致命的な問題もあることにはあるので,一長一短ではあるが,普段使いでの安定性では,今のところAmazonに分があるように思う。
もうひとつ,Appleの方が優れている点としては,再生途中で一時停止したときに,Appleはどこまで再生していたかをきちんと記憶しているが(当たり前のことだが),Amazonはリセットされて記憶されないことがある。どういう場合にリセットされるのかも不明だ。これはクラシックで初めて聴く曲などの場合は致命的である。
今回,Windows版のApple Musicが出たことを機にApple Musicを使ってみたが,Amazonより有利なところもあるものの,ハイレゾとDolby Atmosでギャップレス再生できないなどの致命的な欠陥もあり,今回は1か月で解約することにした。