カラヤンの遺産 ブルーレイ

 2019年7月10日にソニークラシカルから発売になったカラヤンの遺産シリーズのブルーレイから,1985年11月24日の万霊節メモリアル・コンサートでのブルックナー交響曲第9番が入ったディスク(SIXC24)を買ってみた。

 

 DVDは持っていなかったので,比較はできないが,収録時期が約1か月後と近く,同じくZDFが収録したジルヴェスターコンサートと比較しながら視聴した。

 

 まず,今回の目玉はbシャープによりリ・レコーディングされた音声にあるはずだが,パッケージのどこにも記載がない。音声(3種類)の2番目として「2.リニアPCM/STEREO (48kHz/24bit) [remaster]」と小さくかいてあるだけ。

 ちなみに,1番目は「1.リニアPCM/STEREO (48kHz/24bit) [original]」,3番目は「DTS HD Master Audio/5.0ch サラウンド (48kHz/24bit)」と書いてある。

 何というソニーのやる気(売る気)のなさ。

 レコード芸術の記事を読まなければ,単なるリマスタリング音声「も」入っているだけ,としか思えなかった。

 

 その音声だが,聴いた印象としては,リ・レコーディングの方が音の固さが取れ,左右の広がりが大きくなったように感じた。

 ただ,どれだけ違うかと言われると,はっきり言ってよく分からない。

 

 画質は,DVDよりもざらつきが少なく滑らかになった感じはするが,元がSD画質でのビデオ収録なので,解像度がよくなった感じはない。

 以前,NHKがフィルム収録された70年代のものをHD化したときのような衝撃は,全くない。

 それに,通常,HD化すると,字幕などは綺麗になるものだが,この辺は全く手つかず。帯に「LD(レーザーディスク)用のマスターからアップコンバートしてBD(ブルーレイディスク化)しております。収録が1980年代でビデオ時代の画質のため,オリジナル・マスターテープに起因する映像ノイズがある場合もございます。ご了承ください。」と書いてあるが,そのとおりとしか言いようがない。

 つまり,特別なことは何もしてない,ということだ。

 

 結論を言うと,お金持ちの人以外,DVDを持っているなら,買い直す必要はない

 大変残念だ。

 

 

 今回のbシャープによるリ・レコーディングの記事を読んで思ったのは,確かに面白いが,流行らないだろうな,ということ。

 

 それならいっそ,誰かが録音し直したらどうかと思った。いわゆる「完コピ」というやつだ。録音だけでない。演奏会でやってもいいし,「題名のない音楽会」や「らららクラシック」みたいなテレビでやってもいい。みんなの前で,似てるか判定してもらってもいい。

 クラシックの世界では,ありそうでなかったが,オケの技術が上がったと言われる今日,昔のカラヤンベルリン・フィルを完コピするというのはどうか。ほんと,誰かやってみてほしい。できればアンチ・カラヤンだという指揮者にやらせてみたい。「できるけど好きじゃないからこういう演奏はしない」のか,「やっぱできない」のか。

 シン・ゴジラのサントラを作るときに,似たようなことをやっている。結局は映画では使わなかったようだが,伊福部昭作曲の曲を,オリジナルのモノラルのサントラに,そっくりに演奏したステレオの録音をかぶせたのだという。

 

 ほんと,誰かやらないだろうか。例えば,最近1966年の来日公演がCD化たが,あの中の何かの曲を,日本の指揮者とオーケストラが完コピして録音するのだ。やっぱりできないかな。