MUSIC BIRD THE CLASSICのノイズ問題

 衛星デジタル音楽放送MUSIC BIRDの「THE CLASSIC」は,クラシック音楽ファンにはなくてはならないものと言っていいだろう。

 以前のリニアPCM放送(16bit,48kHz)ではなくなったが,最近は,2016年10月から一部で24bit放送(対応チューナーが必要)が始まったり,2017年3月27日からはビットレートが256kpbsから320kbpsに引き上げられるなど,高音質化に取り組んでいるところだ。なお,フォーマットは16bit,48kHzのMPEG1 Layer 2(MP2)である。

 

 そんなMUSIC BIRDだが,最近おかしなノイズが乗るときがあることに気づいた。気がつくと気になってしょうがないものであるが,主にオーケストラ音楽で,時々「ササササ…」というノイズが出るのだ。結構ボリュームを上げないと分からないが,気になる。ライヴ録音だと余計目立つ感じがするし,古い録音だと更に目立つ。

 また,拍手が入っていると,そのところでは「キュルキュル…」というノイズが出る。

 

 チューナーからアナログ出力した場合だけでなく,光ケーブルで他の機器に接続して聴いた場合も出るので,チューナーの故障ではないような気がする。もちろん,アンテナの受信状況は良好である。

 

 何とか原因を究明して,ノイズが出ないようにしたい。

 

 

宇野功芳さん1周忌

 音楽評論家・指揮者の宇野功芳さん(1930-2016)が亡くなってもう1年が経つという。レコード芸術6月号で特集を組んでいるが,評論家の特集を組むのは,宇野さん以外では(少なくともここしばらくでは)吉田秀和さんくらいだろう。それだけの人だったのは確かだと思う。

 はっきり言って全面的に好きというわけではなかったが,月評は必ず読んでいたし(面白いから),月評以外でも,宇野さんの文章は読む機会が多く,たくさん影響を受けたし,教えてもらったと思う。

 

 好きな演奏の傾向は必ずしも一致しなくて,むしろ外れの方が多かったように思う。感覚的には,宇野さんがベタ褒めしたものについては,6対4か7対3くらいで外れだったように思う。もちろん,例えばHJリムのベートーヴェン(録音は最悪)のような当たりもあった。宇野さんが褒めたおかげでその後大好きになった演奏家としては,ヴァイオリニストのギル・シャハムがいる。宇野さんがシャハムのチャイコフスキーシベリウスの協奏曲の月評で「妖刀の切れ味」と評したのを機に聴いてみてすっかりはまり,今では一番好きなヴァイオリニストと言っていい。もっとも,宇野さんはそのCDを褒めただけであって,シャハムが大好きだったわけではないようだが。

 一方,宇野さんが大好きなフルトヴェングラークナッパーツブッシュは苦手だ。苦手というより,モノラル録音ばかりなので聴く気にならないのである。貧弱な音では聴いていてストレスがたまるからだ。別にフルトヴェングラーが(人間的なことは別にして)嫌いなわけでも何でもない。余談だが,ああいう貧弱なモノラル録音を聴いても満足できる人というのは,ある意味人種が違うのかなと思う。自分には耐えられない。

 

 また,宇野さんというと,歯に衣着せぬ明快な物言いが特徴で,これでもかというほど褒める一方,メチャクチャにけなすことも多かったわけだが,不思議と,自分が好きな演奏がけなされても腹が立つことが少なかった。

 なぜだろうと考えると,宇野さんが音楽と演奏家に対して敬意を持って書いているのが何となく伝わるからなのかなと思う。おそらく,彼自身が演奏家であったからだと思う。「プロなんだからもっとできるはずだろ!」と叱咤激励しているように感じられるのだ。それと,宇野さんの場合,褒めてもけなしても,とにかく一度聴いてみようと思わせるということがある。むしろ,けなせばけなすほど,そんなにひどいんじゃ一度聴いてみたいなと思ってしまうのだ。これは,音楽評論で一番大事なことだと思っている。結局は自分で聴いてみないと始まらないからだ。「聴くに値しない」と言われても聴いてみるしかないのだ。

 ついでに言うと,よい音楽(レコード)評論だと思うのは,①どんな演奏家具体的にイメージできる,②とにかく1度聴いてみたくなる,③とにかく音楽が大好きである,④演奏家に敬意を持っている,といったことが伝わってくるもの。その上で,博覧強記だったり,情報通だったり,オーディオや最新テクノロジーに強かったり,文章がうまかったりすればなおよい。

 

 一般論として宇野さんが語ったことは,納得させられるものが非常に多かった。というか,大抵はそのとおりだなと素直に思えた。その中で「さすが,そのとおり!」と思ったものを,うる覚えであるが挙げてみる。

① 第一ヴァイオリンがきちんときこえないのはダメ

② 女声歌手のヴィブラートほど非音楽的なものはない

③ 変奏曲は嫌い

④ モーツァルトの《フィガロの結婚》では,第2幕のスザンナのアリア「おいで,お膝をまげて」が一番好き。

  ところが,④で宇野さんが一番好きな演奏として挙げるのはクレンペラー盤で歌っているレリ・グリストのものだが,聴いてみるとパッとしない。一般論と具体の演奏が一致しない例の一つである。

 

 

 さて,宇野さんは言ってないと思うが,最近の演奏(指揮者)の傾向について思うのは,音色やテンポの変化にはあまり興味がなく,ピリオド奏法をどう取り入れるかと強弱の付け方にばかり目が向いているように思う。

 そのうち,強弱について気になる演奏が多い。ラトルあたりが流行らせたように思うのだが,急に音を弱めてクレッシェンドさせたり,波状攻撃のように短い間隔で強弱を繰り返したり。どうも,音楽がせき止められるような感じがして,聴いていて気分が悪い。

 また,これもラトルがよくやるのだが,ほとんどの人が音を区切って演奏するところをダラダラとつなげて演奏させるのも嫌いだ。不良がズボンを引きずりながらダラダラと歩っているようで,気味が悪い。

 テンポについて言うと,曲想に逆らうようなテンポ変化で他人との違いを示そうとするような演奏が多いように思う。これも,音楽そのものの力を弱めてしまう。

 

 

バレンボイムのブルックナー

 ダニエル・バレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリンブルックナー交響曲全集の一部(第4番,第5番,第8番,第9番)を聴いてみた。

 グラモフォンの最新盤(4796985)だが,国内盤は未発売。売れないと見られたのだろう。レコード芸術では5月号の「View points」で採り上げられており,その前にも海外盤REVIEWでトップページで採り上げられている。レコード芸術は2015年6月号でバレンボイムを特集していて,日本で人気がないことを嘆くような内容だったので,編集部にバレンボイムの大ファンがいるのだろう。

 確かに,指揮者バレンボイムはよく分からない。今回聴いてみて一層謎だなと思った。ピアニストとしては評価している。特に,モーツァルトベートーヴェンは絶品だと思う。しかし,後期ロマン派になると,テクニックがかなり怪しくなるが。

 

 ブルックナーだが,ベルリン・フィル盤(テルデック)は全集を買った。ベルリン・フィルだから買ったのだが,さっぱりピンと来なくて,1度聴いたきり,ほとんど聴いていない。

 新盤はどうか。レコ芸では,バレンボイムブルックナーが日本で人気がない理由の一つとして,テンポを揺らすことを挙げている。確かに,ヴァントなどのブルックナーを信奉する人たちからはそうかもしれないが,それだけではないように思った。

 ブルックナーが苦手な人(自分もそうだ)は,ヴァントみたいなブルックナーが大嫌いだと思う。朝比奈はまだ聴ける。男の色気みたいなのがあるから。ヴァントはダメ。色気のかけらもない。で,聴くなら,ロマンティックに自由に演奏する方が聴ける。そういう意味では,ブルックナー嫌いに受け入れられる余地がありそうだ。

 しかし,バレンボイムブルックナー(実は,ブルックナーに限らないのだが)を聴くと,どうも違う。テンポが揺れるのはいい。でも,その揺らし方が問題なのだ。

 揺らし方が不自然なのだ。何でここで速くするの?みたいなのが続くのである。生理的に合わなくて,気分が悪くなるのだ。こちらの感覚とまるで正反対なような感じ。曲想に合ってないと思うのだが。

 テンポだけでない。金管を朗々と鳴らしてほしいところで抑えてしまったりすることも多い。欲求不満になる。クライマックスの捉え方がどうも違うように思う。往年の巨匠と言われるような人たちなら決して逃さない山場で,音量を抑えてしまうのだ。

 また,シュターツカペレ・ベルリンだと目立たないのだが,ベルリン・フィルとの以前の録音などを聴くと気になるのが,響きが雑然として整えられていないこと。旋律を弾いているパートに対して,内声部の弦楽器の扱いが雑で音が大きい(コリン・デイヴィスなんかもそうだった)ので,音のボディーがしっかりしていない割にうるさいのだ。

 あの指揮ぶりもヴィジュアル的によろしくない。アシュケナージなんかもそうなので,ピアニストに特有なのかと思うのだが,肘が曲がらなくて動きが硬い。見なければいいだけだが,見ちゃうと辛い。

 

 今回のブルックナー,聴く前は期待したのだが,今回も(バレンボイムブルックナーも)好きにはなれなかった。大いに時間を無駄にしてしまった。

 

 

辞めた人は物を言ってはいけないのか

 全くふざけた話だ。

 文部科学省事務次官の前川喜平さんの一連の発言について,菅官房長官をはじめとする内閣の関係者などが,辞めた人間は何も言うな,あるいは辞めた人間の言うことは信じられないといった発言を繰り返している。安倍総理も,「私に確認に来ればよかった」とか言ったらしい。

 これはまさにブラック企業の論理,いじめっ子あるいはいじめを防げ(が)なかった学校や教師の論理である。

 辞めないと言えないから,辞めてから言うのだ。いじめやパワハラで悲劇が起きたときに,社長や校長などが「言ってくれていれば…」なんて言うか?

 バカか,お前たちは。

 それに,辞めたからといって信憑性がなくなるということは,ない。むしろ逆だろう。そんなことも分からないのか,というか分かってて言ってるのだろうが,世間みんな分かってるということでもある。世間をなめている。

 

 今回の話は,みんな信じる・信じないどちらかに偏りすぎていて,公平中立で信じるに足りることを言う人はほとんどいない。しかし,安倍総理,菅官房長官やその取り巻き,右寄りのマスコミ・評論家などは,前川さんの個人人格攻撃ばかりで,言うことの信憑性は相対的に低いと言わざるを得ない。

 

 そもそも,前川さんが嘘をつく必要はない。というか,嘘をつくのはリスクが高すぎる。言うことに一つでも嘘があり,それがバレれば全てを否定されることにつながるからだ。だから,少なくとも言っていることは本当だろう。

 

 もう一度言う。辞めたから言えるのだし,辞めた人の話だから信用できるのだ。

 だいたい,前川さんを事務次官に任命したのは誰なのだ?

 

 これ以上は書かないが,問題の本質は,前川さんの発言の真偽自体ではない。それも国民は分かっている。一国を預かる者が,世の中をなめてはいけない。

 

 

ドイツ・グラモフォンのジャケット

 今年に入ったくらいから,ドイツ・グラモフォンのジャケットデザインが昔のものに戻ったようだ。全部ではないが。

 すなわち,例の上4分の1くらいに黄色い額縁のような曲名と演奏者名を大きく書いたものを出すスタイルのことである。

 グラモフォンといえば,廉価版や組物などを除いて基本的にはこのデザインだったので,すぐグラモフォンと分かったし,いかにも老舗っぽくてよかった。しかも,演奏者の写真を単に載せるのでなく,きれいな絵画などを使って,見た目がとてもよかったのだ。

 ところが,21世紀に入って数年経ったくらいからだと思うが,伝統のデザインをやめて,演奏家の写真にロゴマークを小さく入れるだけというスタイルに変わってしまった。

 もっとも,再発物はむしろオリジナルのデザインに戻す傾向が強くなったので,昔のデザインもよく見かけはするのだが,新譜は基本的に新しいつまらないデザインで,何とも残念だった。

 

 それが,今年あたりから元に戻ってきたのである。大歓迎だ。しかも,演奏家の写真ばかりでない凝ったデザインも目にするようになってきた。

 

 ジャケットデザインの変更と呼応するかのように,録音の傾向も変わったなと思っていたのだが,こちらはまだ相変わらずのようだ。

 このところ,特にピアノ曲で顕著なのだが,甘ったるくムード音楽のような録音になってしまっている。

 例えば,出たばかりのポリーニショパンで比べると,はっきり分かる。

 最近出たのは,後期作品集ということで,国内盤は今年の2月1日に発売された(UCCG-1753)。2015年から2016年にかけて,ミュンヘンのヘルクレスザールでの録音。ポリーニのいつもの録音会場である。バランスエンジニアはベテランのクラウス・ヒーマン。これに舟歌Op.60が入っているが,この曲は以前にも録音していた。

 舟歌の旧盤(UCCG-6231)の方は,1990年に同じヘルクレスザールで録音されており,バランスエンジニアはギュンター・ヘルマンスだった。

 この2つを聴き比べてみると,とても同じホールで同じ人が弾いたとは思えないほど音の傾向が違う。旧盤は,カチっとした固い音で,ポリーニだとすぐ分かる音になっている。一方,新盤は,残響が多く,音は残響に埋もれ,最近のグラモフォンのムード音楽ぽい音になっている。もやもやしていて,個人的には好きではない。

 演奏自体は,好きなのは旧盤の方だが,新盤も一筆書きのような演奏で(テンポも新盤の方が速い),悪くはない。

 ショパンは単発で出ているものだが,ようやく完成したベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集は,数十年かかってしまったということもあるが,初期のものと後半のものでは録音の傾向が違いすぎて,違和感でいっぱいであった。

 この音の傾向は,これからどうなっていくのだろうか。オーケストラも含めて,もう少ししっかりした録り方をしてほしいなと思う。もっとも,この傾向はグラモフォンだけではないようにも思うのだが。

 

 

『キン肉マン』完璧超人始祖編完結

 平成23年11月から週プレNEWSで連載が続いていた,『キン肉マン』完璧超人始祖編が,やっと完結した。長かった。

 このダラダラした長さは,Ⅱ世でも感じたもので,Ⅱ世は耐えられずに途中で読むのをやめたのだが,こちらは何とか最後までお付き合いできた。

 Ⅱ世以降,マンガの絵は非常に精緻になり,初期のキン肉マンとは,とても同じ人が描いてるとは思えないほど立派なものになっていた。しかし,それで面白くなるかというと必ずしもそうでないのが難しいところだった。

 

 初期のキン肉マンを知っていて,そちらも愛してやまない人からすると,絵と舞台背景が精緻かつ立派になるにつれ,だらけて面白くないと思ったのではなかろうか。

 まだ全部コミック化されていないので,最終的に何巻になるか分からないが,38巻から始まって,60巻は下らないはず。

 だらけて感じるのは,セリフが長いことと,絵が立派で1つのコマが大きいせいかと思う。あんなに喋りながら闘えるのか!と突っ込みたくなるし,絵が精緻すぎて,かえってアップのところではどういう状態か分からないことがよくあった。

 まれにキン肉マンがふざけるシーンが出ると非常に浮くし,「友情」を振りかざしたりして立派なことを言うと何だか白けるという悪循環もあった。

 ネメシス戦の最後も取って付けたような終わり方でおかしい。さすがにあれはないと思う。

 最後が,キン肉マンの闘いでなく,悪魔将軍(ゴールドマン)の闘いだったというのも異常だった。尻切れトンボ感が強いし,これでは誰が主人公だか分からない。本当は,悪魔将軍が負けて,その後にザ・マンとキン肉マンの闘いを予定していたのが,長くなりすぎたので打ち切ったようにも思える。ネプチューンマンも,何をしに出てきたのか分からない。

 

 文句ばかり書いたのは,キン肉マンを愛するが故。

 最後に何か屁理屈を付けてまた復活すると思っていたロビンマスクが復活せず,全く忘れられたように終わってしまったのも意外。おそらく,次のシリーズのどこかで復活するのだろうが。

 相変わらずラーメンマンは強く,テリーマンは口ばかりで弱かったのが印象に残るが,完璧超人始祖の面々は,ネメシスとサイコマン以外はあまり印象に残らなかった。ザ・マンは,悪魔将軍とは,武道のお面と防具を脱いで闘うべきだったと思う。

 ロビンマスクなどが最後に復活しなかったのも,次のシリーズへの布石かもしれないが,残念。

 それと,これまでのシリーズでは,どこか切なく,ホロリとさせるエピソードがあちこちに挟まっていて,強い印象を残したものだが,そういうものもほぼなかった。

 

 次のシリーズでは,テンポのいい展開と,涙なしに読めないようなエピソードの挿入を期待したい。絵は多少雑でもいいから,ストーリーで勝負してほしい。

 

 

ATRACの終焉

 これまでずっと,CDのリッピングATRAC 3 Plusを使ってきた。

 その一番の理由は,ギャップレス再生に対応していること。それと,曲の分割・結合が容易なことであった。もっとも,ソフトによってはギャップレス再生に対応していなかった(BeatJamなど)のだが,Media Goが出るまでのソニーのソフト(SonicStagex-アプリ)やWALKMANでは完全にギャップレスだった。

 クラシック音楽を聴くのにギャップレスは必須なわけだが,以前のMP3やAACはギャップレス再生はできなかった。今でも,MP3やAACは完全にギャップレスに対応しているわけではない。機器やソフトによる。また,AACの場合は,互換性に問題があって,拡張子が複数あり,その拡張子によって再生できなかったり,アートワークが出なかったり,文字化けしたりと,いろいろ問題があった。

 そんな中でも,非可逆圧縮のフォーマットで一番互換性等の問題がないのはMP3だったが,この4月23日で特許ライセンスが終了し,今後はどうなるか不透明になってしまった。まあ,使えなくなることはないと思うが,不安材料ではある。

 非可逆圧縮を使ってきたのは,それしかなかったということと,あっても対応機器・ソフトが少ないこと,そしてPCやWALKMANの容量の問題だったので,これらが解決すれば,音質的に有利な可逆圧縮に移行するのは当然の成り行きではあった。

  ということで,今年からはATRAC3 Plusはやめて,FLACリッピングすることにした。ただ残念なことに,今使っている三菱のDIATONE SOUND NAVI(MZ-100シリーズ)はギャップレス再生に対応しておらず,ほんの短い時間だが,音が途切れてしまう。KENWOODの彩速ナビはFLACのギャップレス再生に対応しているそうなので,SOUND NAVIもアップデートで対応してほしい。高音質を売りにしているのだから,音質だけでなく再生環境も最先端を行ってもらいたい。

 もう一つ言うと,SOUND NAVIはSDカードやUSBメモリに入れた曲の検索機能が非常に貧弱で,フォルダ検索以外は使えないのが非常に不満である。カテゴリーサーチという機能があるのだが,これだと,例えばまず演奏者で検索した場合,アルバム名がABCとアイウエオ順で並び,次にアルバムを選ぶと,何と,曲がABCとアイウエオ順で再生されるのだ。通常は,アルバムを選んだ場合,曲はトラック番号順に並ぶのが普通である。というか,当たり前だろう。なので,カテゴリーサーチは全く使えない。トラック番号順に演奏させるには,トラック番号付きでファイルを作成し(普通はそのようにリッピングするだろう),フォルダ検索でやるしかない。これは結構不便だ。

 

 本題に入る。FLACへの移行は当然の流れだったとして,心配なのは,これまで録りためたATRAC系(MDのATRACからATRAC3 Plusまでを含めて,以下こう言う。)のファイルがいつまで使えるのかということだ。MP3,AACWMAなどはほとんど心配ないと思うが,ATRAC系はそうではない。対応するソフトや機器が少ないのだ。しかも,ソニーの機器でも再生できない方が多いという,とってもふざけた状況になっている。このことについて書いておく。

 既に,スマホXperiaシリーズ)でATRAC系は再生できなくなっている(以前はできるように聞いていたが,持ってないのでよく分からない)。

 今,問題なく再生できるのは,WALKMANx-アプリだけなのだ(SonicStage CPも使っているが,サポートは終了していて,手に入らない。)。Media Goは,ギャップレス再生に完全対応していないし,再生だけでリッピングはできない。BeatJamも「for carrozzeria」以外は終了している。

 なぜこのようなことになってしまったのだろう。ソニーらしい問題があるように思う。

  ソニーは,WALKMAN,MDステレオ,moraではATRAC系を採用していたが,それ以外の,ネットワークオーディオプレーヤー,マルチメディアプレーヤー・レコーダー,AVアンプなどでは,早い段階からATRAC系を排除していた。おそらく,ソニー内部の縦割りのせいではないかと思う。ソニー全社挙げてATRAC系を盛り立てなければならないのに,そういう態勢になっていなかった。まるで,ATRAC系は使うなと言わんばかり。ユーザーを完全に置き去りにしていた。

 ATRAC系は,規格が乱立したきらいはあるが,MD(特に,Net MD)から移行しやすい,再生互換性の問題が少ないなどのメリットがあったが,特にソニーがmoraで強力な著作権保護をつけようとしたことが嫌われるということはあった。しかし,自分でリッピングするのであれば著作権保護はつけなくてもリッピングできたし,moraも後からは著作権保護なしの配信に切り替えた。

 しかし,ソニー全社を挙げた応援態勢が敷かれることはなく,どんどん劣勢になり,moraがAACに切り替えたことで,実質的に終わってしまった。

 

 MDとATRAC系のメリットは上記のほかにもあり,編集のしやすさ,扱いやすさ,PCに吸い上げることの容易さなどが挙げられる。

 PCへの吸上げについては,Hi-MD WALKMAN MZ-RH1(今聴いても,音質は素晴らしい!)を使うと簡単にでき,ATRAC系では著作権保護がかかって取扱いが不便であるが,吸上げと同時にリニアPCM(wav)に変換すると,著作権保護が外せるという裏技的な機能もあった。

 

 また,ATRAC系では,ロスレスATRAC3 Advanced Losslessというものもあったが,既にATRAC系が劣勢になった規格で,ロッシー部分を取り出して機器に転送できるなど,面白い機能はあったが,しかしそんな需要はほとんどなく,FLACなどよりファイルサイズが大きくなることもあり,carrozzeriaのナビに採用されたりはしたものの(現在は外されているようだ),ほとんど使われずに消えていった。

 

 このように,いいものを持っていながら結局天下を取れなかったのは,規格が乱立するといった戦略のまずさもあるが,一番は,ソニー内部でATRAC系を何とかしようという態勢が取れなかったということのように思う。

 こういう,フォーマット争いでの会社としてのだらしなさは,ベータマックスからずっと続いているように思う。DVDでは,独自に+R,+RWという規格を推したがほぼ相手にされず,メモリースティックもSDカードに敗れ,ブルーレイでは,HD DVDに勝利したものの実際は他社製品で作成したものとの間に互換性の問題があったり,全く懲りない会社である。

 

 今後,ATRAC系が復活することはまず考えられないが,少なくとも,WALKMANとPCのリッピングソフト(x-アプリMedia Go)では,未来永劫,間違いなく使えるようにしてもらいたい。そしてできれば,ソニー製のオーディオ機器やスマホでは,ATRAC系も再生できるようにしてほしい。

 

 

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