小澤征爾 謎のブラームス交響曲第2番

 レコ芸が休刊になり,新譜の情報をどうやって入手しようと悩むが(ネットの記事では偏っているので),そんな中,謎の1枚を発見した。

 

 Amazon Musicで,お勧めに小澤征爾指揮ボストン交響楽団によるブラームス交響曲第2番が出てきた(グラモフォン。ほかに,ロッシーニの《セミラーミデ》序曲とパガニーニの《常動曲》がカップリングされている)。

 小澤とボストン響のブラームスは,1977年の第1番の録音があり,これだけだと思われてきた。あとは,サイトウ・キネン・オーケストラとの全集と第1番・第2番の再録音があるだけ。

 ところが,Amazonで出てきたのは,2017年の初出となっているものの,ジャケット写真を見ると若い頃(おそらく第1番と同じ頃)の演奏のように思わせる作りとなっている。ヘ長調なのにイ長調となっているなど,そういうのがデタラメなのは相変わらずだが,それ以上の情報はない。ほかの配信サービスを見ると,確かに同じ演奏が聴けるのだが,やはりデータはなにもなし。

 演奏は,音質は鮮明だがサイトウ・キネン・オーケストラのものよりも若々しさが感じられるので,やはり1980年前後のものではないかと思われる。

 第4楽章が終わった後に,拍手らしき音がちょっと聞こえたりするので,ライブなのかもしれないが,演奏中のノイズは皆無なので,はっきりとは分からない。ただ,カップリングを見ると,ライブ(アンコールの曲?)のようにも思える。

 

 いろいろ検索はしてみたが,結局この音源の出所は不明。小澤ほどの指揮者の正規の録音がこのような形で出てくるのは非常に珍しいので,いわく付きの音源なのだろうから,余計にいつどこで録られ,今頃(といっても5年以上前だが)出てきたのか,知りたい。

 

 そんな小澤さんは,今どうしているのだろう?

 そういえば,フィリップ・ジョルダンも,ウィーン国立歌劇場の在任中には1枚もウィーン・フィルとスタジオ録音を残さないまま退任してしまった。

 ウィーン・フィルは,完全にニューイヤーとシェーンブルンだけの観光オケになってしまったようだ。NHKはFMでも演奏を流すことがほとんどなくなってしまったし,MUSIC BIRDも終わる。レコ芸の海外楽信で取り上げられることも稀になって久しい。ますます日本とは縁遠い存在となり,ニューイヤーの中継の時にゲストが日本とのつながりについて白々しいコメントをするだけの存在になってしまうのだろう。