3月24日深夜のNHK「プレミアムシアター」(NHK BSとBS4Kのどちらも)で,1992年と2024年のベルリン・フィル来日公演が放送されることが分かった。
2024年の方は,1月14日にEテレで放送されたばかりだが,より高画質・高音質で放送されるのは嬉しい。というか,先にBSで放送してほしかった。保存用のブルーレイを無駄に消費してしまった。
昨年のペトレンコの演奏も良かったが,今回もっと嬉しいのは,アバドとの1992年の演奏の方である。当時,アナログ地上波でステレオで放送されていたが,(おそらく)ハイビジョンの5.1chで放送されるのは初めてのはず。
1992年1月25日にサントリーホールで収録されたこの日の演奏は,オール・ブラームス・プロで,前半がヴィクトリア・ムローヴァをソリストに迎えたヴァイオリン協奏曲,後半が交響曲第2番だった。アンコールはハンガリー舞曲第1番。
ムローヴァのヴァイオリン協奏曲はCDで発売されていたが,交響曲は未発売。しかし,凄かったのは交響曲の方。サントリーホールのステージいっぱいに所狭しと並んだ,倍管編成の(今では極めて珍しくなってしまった)ベルリン・フィルは,見ただけで圧巻である。
まだカラヤン時代の旗本が多数在籍しており,コンサート・マスターはスタブラーヴァとシュピーラーだし,コントラバスにはツェペリッツ,フルートにブラウ,オーボエにシェレンベルガー,ホルンにハウプトマン,などなどなのだが,何と言っても凄いのはティンパニのフォーグラー!
アバドの指揮もまだまだ若々しく,特に第4楽章は凄まじい!アバドがおかしな方向に行ってしまう前の演奏で,非常に貴重だ。
是非,見てほしい!
放送局が収録した来日公演は,放送後すぐ破棄する条件で収録が許可されることが多いと聞くが,よく残っていたものである。
以前,1994年の来日公演でのチャイコフスキーの交響曲第5番がハイビジョンで再放送され,その後デジタル・コンサートホールでも見られるようになったので,今回もそうなるだろうか。
ついでに言うと,デジタル・コンサートホールでは,アバド時代の演奏会で,ハイビジョン収録されていたのにSD画質でしか見られないものが多数あるので,ハイビジョンで見られるようにしてしてほしい。あと,きちんと比較していないので分からないのだが,カラヤン時代のものの画質は,NHKが8Kリマスターしたものと比べてどうなのだろう。テレモンディアルのものも見られるようにしてもらいたい。
とにかく,今度の放送は必見である。良くも悪くもこの30年間でのベルリン・フィルの変化がよくわかるだろう。
もし音源が残っているなら,1987年のウィーン・フィルとの来日公演(ベートーヴェンの交響曲全曲演奏)をCD化してほしい。
今年はアバドの没後10年。そのほかにも貴重な放送音源はたくさんあるので,発掘し,世に出してほしい。
グラモフォンも,近年はさっぱり新譜が出なくなってしまったのだから,過去の音源のCD化に積極的になってはどうか。お金もかからずに,稼げるかもしれない。