福島県立医科大学の次期理事長予定者選考について(その2)

 どうも新たな段階に入ったようなので,項を改める。(→前回はこちら

 

1 医学部教授12人による要望書提出

 本日(2023年2月8日)の毎日新聞によると,福島県医大医学部などの教授12人が,1月31日付けで内堀知事や県議全員に「選挙は無効」として対応を求める要望書を提出したという。

 毎日新聞の記事は有料記事だが,m3.comで無料で読むことができる。

 記事によると,要望書は「理事長選考を憂慮する有志の会」(代表・黒田直人医学部教授)が提出し,「選考理由について適切な説明がされていない」と主張しているという。また,添付した弁護士の意見では「理事長は両審議会の委員の指名・任命を通じ、選考会議の委員選出や理事長候補者の選考に事実上強い影響力を行使できる」などと訴えているという。さらには,同会は選考会議の委員が現職への投票依頼をしたとも主張しているとのこと。

 今のところ,この要望書自体はネット等で公開されていないようだ。

 代表の黒田教授は法医学講座の主任教授をされており,今年度で定年退官される。退官を前に,医大の現状を改めるべく,捨て身の覚悟で代表になられたのだろう。紺野教授もそうだが,退官予定の方でないと声を上げられないような状態になっていることが想像される。

 ちなみに,法医学講座も整形外科学講座も,後任の主任教授はまだ決まっていない。

 同会が選考会議の委員による働き掛けについて要望書に記載しているということは,学内では誰が選考委員か分かっているということだ。これまではマスコミ各社とも選考委員は非公開であるとしか報道していないが,関係者に取材すれば簡単に分かるということで,これはマスコミの怠慢であり,調べて公にすべきだ。

 毎日新聞の記事では,県会議員への取材結果も書かれており,ある県議は「学内で解決策を模索すべき話だろう。興味はない」と話したという。興味がないとは,この県議が誰なのか,知りたいところだ。

 

 

2 m3.comによるアンケート

 m3.comが,「理事長・学長の選考方法、透明性は?」と題して会員アンケートを行い,その結果を公表している。

 843人の医師から回答があり,勤務医の43.6%が選考方法を「不透明だ」とするなどの結果となったという。詳しくは記事を見てほしい。

 

 

3 財界ふくしま

 財界ふくしま2023年3月号で,「福島医大理事長・学長選出の収まらない余波」と題してこの件が取り上げられている。

 目新しい情報はほとんどなく,菊地前理事長の影響力を指摘する関係者の声を紹介しているのが目につく程度。

 

 

 ここまでのところ,マスコミでは毎日新聞の一人勝ちといった様相。地元紙2紙は完全に沈黙している。地元紙としての役割を全く果たしていない

 

 

【追記】

 共産党福島県議団が1月23日に県知事に提出した「2023年度予算と主な施策についての申し入れ」に,本件について記載があることが分かった。

 

県立医科大学理事長学長選出ついて
 県立医科大学理事長兼学長選出については、民主主義にもとるとの声が教員だけでなく広く県民からも上がっていることは、県立大学として由々しき事態である。県立大学として透明性確保の観点から、関係者はもとより県民誰もが納得できる理事長選出となるよう、意向投票の結果を受けた選考会議の議事録を公表し説明責任を果たすとともに、適切な対応を取るよう求めること。

 

 また,ついでにいろいろ見ていたら,2019年11月27日付けの県知事への申し入れに気になる記載があった。

 

四、福島県立医科大学特定業者指名決定に係る疑惑につい
1、福島県立医科大学特定業者指名決定に係る疑惑について、県として調査し適切な対応を行うこと。

 

 何の契約(?)に関するどんな疑惑なのだろう。報道された記憶はないのだが。共産党も,具体的に書かないのは無責任ではないか。その後どうなったのだろう。謎だ。

 

 

(その3)へ

(その4)へ