サブスクで完全に変わった音楽生活①

 サブスクがメインで音楽を聴くようになって,半年以上が経った。

 これまでのエアチェック中心の生活から,全く変わってしまったと言っていい。

 

 サブスクにすぐ手を出さなかったのは,音質の問題が一番大きかった。ロッシー音源だったからだ。もちろん,SPACE DiVAと同等以上のスペックであり,FMとは比較とならないわけだが,どうも気が進まなかった。

 その一方で,ハイレゾにも対応し音の良さが売りが売りのmora qualitasは,曲が少なすぎて話にならなかった。

 mora qualitas,Amazon Music HD,Spotifyを試用してみて,サブスクメインに移行したのは,実は経済的な問題が大きい。そして何より,Amazon Music HDが非常に多くの曲でCD以上の音質で提供するようになっていたというのがある。

 そこで,ついにMUSIC BIRD(SPACE DiVA)の契約更新時期に合わせて解約することにし,サブスクメインに移行した。

 サブスクは,上記の3つを試用してみたが,まだどれに絞るか結論は出ていない。とりあえず,Apple Musicの無料期間終了後はAmazonにしようと思っているが,本命はSpotify HiFiではないかとも思っている。

 お気に入りの曲が増えると面倒になるが,サブスク間の移行はそれほど面倒ではない。この辺は,サービスが終了すると大変なことになる電子書籍業界とは違うところだ。

 

 

 さて,音楽を本格的に聴くようになってから,その中心は常にエアチェックだった。エアチェックとはすなわちラジオから録音することなので,当然FMということになる。クラシックならNHK一択だ。

 昔は,毎週(確か,土曜日)必ず新聞に一週間のNHK FMの詳しい番組表が掲載されていた。今では考えられないが,1面まるごとNHK FMの番組表だったのだ。

 それを隅から隅まで見て,録音したい曲に印をつけ,タイマーをセットするか,タイマーではうまく録れなそうなときは必ずその時間にステレオの前にいる,ということが習慣になった。

 

 録音するのは,カセットテープである。テープの種類がたくさんあり,録音可能時間もいろいろで,当然それらによって値段が変わってくるので,テープ選びは非常に重要だった。

 初めのうちは,もちろん,ノーマルのそんなに高くないのしか買えず,それを大事に使っていた。だんだん小遣いが上がるにつれて,高級なテープが買えるようになり,それがとてもうれしかった。買う前には,新聞でチェックした録音する曲に合わせて,必要な長さのテープの種類を書き出しておくのも大事な習慣になった。

 気に入っていたのは,TDKのカセットテープだった。まず,デザインが気に入っていた。種類も多かった。音質も,使っていたカセットデッキとの相性もあるのか,TDKが一番音がいいような気がした。曲名を書くインデックスのデザインも非常に重要で,これもTDKのが一番よかった。初めは手書きだったのが後からはワープロ印刷になったが,印刷しやすいのもTDKだった。テープに貼るシールの大きさやデザインも大事で,これもTDKがよかった。

 カセットテープの販売末期には,TDKはだんだん種類が減ってきて,入手しづらくなったりもし,ほかのメーカーのものを買わざるを得なくなって,残念だった。

 カセットテープについて書くとまだまだ書けるが,音楽の聴き方とはズレてくるのでこのくらいにしておく。

 CDを買ったりするたびに,同じ曲が入っているカセットテープは処分してきたが,それでもまだかなりの本数のカセットテープがあって,処分できずに置いてある。

 

 カセットテープの次に録音に使ったのは,DATである。これもすごい数のテープがまだあって,聴けるのだが,残念ながらそのほとんどを占める特定のメーカーのテープがなぜかノイズが出てまともに聴けなくなってしまい,困っている。

 DATは,CDなどデジタル音源もそのままの音質で録音できるという,当時としては夢のような機械だった。やはりメインはFMのエアチェックだったが,レンタルで借りてきたCDをデジタルダビングできたので(1世代だけ),非常にありがたかった。

 標準的な120分テープの場合,LPモードで倍の240分まで録音できるというのもよかったが,FMの場合はなぜかノイズが大きくなるという現象が発生し,途中からはLPモードは使わなくなった。DATはカセットテープからの乗換えだと使い勝手に違和感がなく,移行しやすかった。あらゆる面でカセットテープの進化形と言え,カセットテープの録音で覚えたいろいろな技がそのまま役に立つのがよかった。

 

 DATと併用して,一時期MDもエアチェックに使ってみたが,音質の悪さと録音時間の短さがあり,DATから乗り換えるには至らなかった。

 ディスクなので使い勝手は抜群によかったのだが。ケース入りで保管もしやすく,大きさも手軽で,Hi MDを超える大容量のもの(=音もいい)が初めから出ていれば,DATに取って代わっていただろう。

 

 DATの次にエアチェック機となったのは,ヤマハのHDD/CDレコーダだった。これは今も現役だが,HDDがIDE接続なので,壊れたらもうおしまいである。

 HDDに録音して編集し,CD-Rに焼くというのは画期的だったが,テープメディアに録音していたときより格段に手間がかかるようになったのも確かだ。曲の前後を無駄なくカットし,正確にトラック分けしないといけないからだ。テープだと多少曖昧でもよかった作業が,そうではなくなってしまった。CD-Rにインクジェットプリンタで曲名などを印刷するのも手間だった。

 そのうち,パソコンでリッピングして保存するようになると,CD-RではなくCD-RWを経由してパソコンにリッピングするようになった。これまた手間で,いい加減疲れていたということはある。音楽を聴くよりも,編集してパソコンに取り込むのに時間がかかるようになってしまった。結局,エアチェックしたのはいいが,全然聴かないものも増えてしまった。そのうち聴こうと思っても,音源がたまる一方で,エアチェックした直後に聴かないと,ずっと聴かないことになってしまった。

 

 

 ここまではエアチェックする機器の話だったが,次に,音源の話に移る。

 

 最初に書いたとおり,まずはとにかくFMだった。民放は曲にDJの声がかぶったりするし,そもそもクラシックはほとんど放送されないので,NHK以外はほとんど聴かなかった。

 FM以外だとテレビ放送ということになるが,衛星放送がない頃は,N響アワーと芸術劇場,そして題名のない音楽会くらいしかクラシック音楽が聴ける番組はなかった。年に何回か教育テレビの特番で海外オケの演奏会が放送されたりもしたが。

 

 その後,衛星放送が普及してからは,NHKのBS2がFMと並ぶ音源となった。デジタル化されてからは,現在のBSプレミアムだ。

 そして,WOWOWでは,ベルリン・フィル定期演奏会を定期的に放送していた時期があった。ベルリン・フィルの放送がなくなると(デジタル・コンサート・ホールを始めたからか?),ウィーン・フィル定期演奏会が放送された。今では,ウィーン・フィルというと,来日公演のほかはニューイヤー・コンサートとシェーンブルン宮殿のコンサートくらいでしか目に(耳にも)することがなくなってしまったが,定期的に定期演奏会がテレビで見られるという素晴らしい時期があったのだ。

 ちなみに,ニューイヤーはともかく,シェーンブルンの方は,演奏の質も低く,毎年CDでDVDで出すというのはどうかと思う。はっきり言ってお遊びでしかなく,毎回がっかりさせられる。そんなのを出すくらいなら,もっとCDを出すべきだ。ベルリン・フィルはその辺しっかりしていて,ヴァルトビューネの野外コンサートをCDで出したりはしない。イベントとしての価値はあっても,芸術的な水準を満たしていないことをよく分かっているからだろう。

 ついでに言うと,NHKで放送すると,日本でデジタル・コンサートホールでは見られなくなる,というのは何とかしてほしい。放送して1年以内とかならまだ分かるが,しょちゅう再放送するわけでもないのに(NHKオンデマンドではずっと見られるのだろうか,確認していないが)ずっと見られないというのは困ったものだ。NHKの録画が失敗したときは,どうにもならなくなってしまう。

 テレビだと,ほかには,BS朝日ベルリン・フィル定期演奏会を放送していた時期があった。年始の特番でテレ朝系とフジ系がクラシックの特番をやることもあった。日テレは読響を持っているので,そちらが中心。ほかにも民放で注目すべき演奏会を放送することもあったが,一番クラシックに縁遠いのは,今も昔もTBS系だろう。全く関心がないようだ。順位付けをするとすれば,テレ朝,日テレ,フジの順で,TBSとテレ東は番外といったところか。

 

 エアチェックの音源としては,WOWOWの音声だけの放送として,セント・ギガというのがあって,クラシック音楽の番組もあった。

 

 ラジオに話を戻すと,メインの音源はFMからMUSIC BIRDに移った。今のTHE CLASSIC,かつてのCLASSIC 7である。

 今でこそ,圧縮音源のSPACE DiVAになってしまったが,2011年の7月まではCS-PCM放送(16bt,48kHz)で,CDを超える高音質だった。それをそのままDATに録音する,というのが,かなり長い間,エアチェックのスタンダードになった。

 MUSIC BIRDのCS-PCM放送の特徴は,コピーガードのないデジタル放送だった,という点が特筆される。つまり,SCMSに対応したDATなどにデジタル録音した後,更に1世代はデジタルコピーができたのだ。今のSPACE DiVAはそれができない。なので,DATからHDD-CDRレコーダーにデジタルコピーし,CD-Rに焼いて,パソコンでリッピングすることもできるのである。もちろん,CD-Rに移すにはサンプリングレートを変換しないといけないので音は若干劣化するが,貴重な音源をパソコンに取り込んで残せるというメリットは大きい。

 外付けのUSB D/Aコンバーターなどを使えばDATから直接パソコンに取り込むこともできるのではないかと思うが,調べていないので分からない。これをやり出すと,それだけで一生が終わってしまいそうなので。DATからだと等速でしか取り込めないし,それを編集(トラック分け)して,となると,1本を取り込むのにどれだけ時間がかかるか,とんでもないことになりそうだ。

 残念だったのは,CDを放送する場合は一度アナログ変換して48kHzにして放送していたよう(なので,もう1世代デジタルコピーできる)なのだが,CDより録音レベルがかなり低いのである。これは,SPACE DiVAになっても変わっていない。したがって,再生するときはかなりヴォリュームを上げないといけないし,何より,そのためにダイナミックレンジが小さくなってしまっている。せっかくCDを超える音質のフォーマットなのに,それが生かされないことになってしまっていた。

 それともう1つ,CD1枚の放送が終わると,管理用の信号なのか,すごく小さな大人のだが,「ピー」という音が入るのだ。最近のCDは曲の前後の余白を多く取っているものが多いのでほとんど問題ないのだが,初期のCDだと残響がまだ残っているのでは?と思うようなタイミングで終わってしまうものもあり,そうすると,すぐ「ピー」と入るので,曲の前後を切るタイミングが非常に難しいときがあった。

 

 2011年8月からは圧縮音源のSPACE DiVAに移行してしまい,非常に残念なことになってしまった。CS-PCM用のチューナーは使えなくなるので,SPACE DiVA用のチューナーを無料で送ってくれたが,今さらFMに戻るわけもなく,その後約10年間,SPACE DiVAのお世話になることになった。

 CS-PCMのときからそうだったが,結局,たくさんチャンネルがあっても,CLASSIC 7(THE CLASSIC)以外のチャンネルを聴くことはほぼなかった。

 

 

 長くなってしまったので,サブスクでどう変わったかは,別記事で書くことにする。