福島県立医科大学の次期理事長予定者選考について(その4)

 2023年2月21日の朝日新聞夕刊に「結果ありき? 理事長選に不信」と題して記事が掲載された。

 前回(2月11日)の朝日新聞の記事は地方版だったので,今度は夕刊とはいえ全国紙での掲載となり,ネット版(有料記事)でも配信されている。

 内容は,2月11日の記事の焼き直しで,ほぼ同じ。目新しい情報としては,「選考会議の決定が、投票結果の発表からわずか1時間後だったことも「結果ありきの選考」との憶測を呼んだ」と書かれていることくらいだろうか。

 

 ここでもやはり,選考過程が不透明であり教職員の意向が反映されていないということを指摘するのみで,なぜ竹之下氏が惨敗したのかについての分析は全くない

 新人同士の争いならいざ知らず,2期務めた現職が大敗したということは,この間の竹之下理事長の大学運営に問題があったと教職員の多くが考えているということに他ならない。それが何なのかを取材して伝えるのがマスコミの使命だろう。福島県の医療を支える公立大学なのだから。多額の税金も運営交付金として交付されている。

 まずは,竹之下理事長の2期の総括が必要だ。

 選考方法に問題があることは,規程を読めば分かることであり,その責任は国や県にもある。定款を最終的に認可するのは文部科学大臣なのだ。しかしやはり,福島県立医科大学としての問題の本質は,そこにはない。竹之下氏が2期の間に何をし,何をしなかったのかが問われているのだ。

 

 相変わらず,意向投票の当事者たちは沈黙したまま。竹之下氏としては,もう県に申出書が提出されており,知事は大学の意向を尊重する方針を明らかにしているので,余計なことを言って問題を大きくしたくないのだろう。4月までには正式に任命されるし,任命されてしまえば,好きに反対派を粛清できると考えているのだろう。

 

 オンライン署名は1,500人を超えたようだが,いまだにいつ・誰に・どんな形で署名を提出したのかやそれに対する反応は明らかになっていない。既に署名が各方面に提出されたと新聞でも報道されているというのに,当該ホームページ上で何の告知もされていないというのは,不審だ。

 まさか,竹之下氏側による反対派のあぶり出しのための釣りだったなんていう落ちはあるまいが,このままだと尻すぼみになって,何事もなかったかのように4月を迎えることになるのではないか。それでいいのか。

 

 

【追記】

 整形外科医の田地野崇宏医師がTwitterで,選考会議の議長が「狭間氏」であると明らかにしている。おそらく,副理事長で細胞統合生理学講座主任教授の挾間章博氏のことと思われる。この情報が正しいかは分からないが,もしそうだとすると,副理事長は理事長が任命するので,中立な立場で選考会議が開かれたとは考えがたい

 また,このツイートでは,「紺野候補の推薦人から、1月16日に選考会議議長狭間氏に情報開示請求が行われましたが、開示・不開示決定が通知されていないそうです。条例では30日以内に限り延長可とありますが、この延長期間もとっくに過ぎています」と書かれているが,医大に対しての情報公開請求であれば,理事長宛に所定の様式で行う必要がある。もし狭間氏宛に文書を送ったとしても,無視されてしまうだけだろう。

 別な方がTwitterで,医大に「理事長選考に関わる情報及び選考会議に関わる情報」の開示請求を行い,既に開示の決定を受けていることを明らかにしている。写しの交付はこれからのようであるが,このツイートを見ると,選考会議がいつ行われたかということも分かっているようだ。それによると,理事長候補者が決定されたのは1月13日の第4回理事長選考会議ということになるらしい。第1回から第4回までの開催年月日を知っていること,併せて経営審議会と教育研究審議会の日程まで把握しているということは,医大の中枢部にコネのある方のようだ。続報を期待したい。

 

 

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