「いいたて村の道の駅までい館」グランドオープン

 福島県飯舘村の県道12号線(原町川俣線)沿いに,平成29年8月12日(土)10時,「いいたて村の道の駅までい館」がオープンした。

 村の中心部からやや西に行った田んぼの真ん中にあって,県道の向かい側はひまわり畑になっている。ちょうど,川俣の道の駅と南相馬の道の駅の中間くらいになるので,場所としてはちょうどいいところだと思う。

 

 道の駅の外観は,屋根から飛び出した大きなガラス窓が特徴。そこから採光し,中のホールに花玉を飾っている。

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 花をテーマにしているので,中も外も花だらけ。とっても綺麗である。こういう道の駅は,いまだかつてないだろう。

 正面から入ってすぐの「までいホール」にたくさんつり下がっている花玉は本当に見事だが,時々花が落ちてくるので,その下で食事をする際は要注意。維持費もかなりかかりそう。

 床が木なのも,こういうところでは珍しいと思う。木造で木を多く使っているので,温かい感じがする。そして,なぜか壁や扉の下の方が金色

 

 中には,トイレのほか,セブンイレブン,軽食コーナー,特産品コーナー,直売所などがある。

 

 トイレはそれほど広くはないが,やはり花がたくさん置いてあり,今はアンスリウムが飾ってあった。

 トイレ前の情報コーナーには駐車場にあるブロンズ像と同じ人が製作した木彫があり,これもほかの道の駅とは違った独特の雰囲気を出すのに一役買っている。個人的には好きな形ではないが。どういう経緯があるのかは知らないが,伊東在住の重岡建治さんという方の作品だそう。駐車場にブロンズ像がある道の駅も珍しいだろう。

 

 セブンイレブンでは,「飯舘」という名前の酒が売っている。造っているのは喜多方の大和川酒造。

 

 軽食コーナーのメニューは,まず,強気の値段に驚く。ローストビーフ丼1,200円,豚丼950円,ポークカレー850円,うどんが400円~700円,伊勢うどん(?)500円。

 デザートは,白いコーヒーソフト450円,プレミアムバニラソフト450円,コーヒー400円,水出しアイスコーヒー400円,紅茶500円,ケーキ500円,ケーキセット800円,クレープ500円。

 

 豚丼は1日30食限定で,北海道産の豚肉と福島県産のコシヒカリを使っているという。豚肉は厚切りの大きな肉が2枚。タレの味が濃いめなので,いい肉を使っているとは,言われてみないと分からない。ご飯の量は多くないので,若い人はお腹いっぱいにならないと思う。

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 ポークカレーは,本場インド風ではなく,言ってみれば日本風の甘口カレー。甘口なので子供でも大丈夫。しかしこれも値段的には厳しいと思った。気になったのは,皿に高級そうな陶器を使っているのだが,表面がザラザラしているものなので,食べ終わる頃になるとスプーンとこすれるすごい音がして,食べるのに気を遣う。

 伊勢うどんは,東北地方ではなじみのない食べ物(なぜまでい館で出してるのかは不明)だが,三重県伊勢市あたりの名物らしい。極太のコシの全然ない麺に,濃いタレが少量かかっていて,「混ぜて食べてください」と言われた。それにネギと鰹節を混ぜたものと,カマボコが1枚乗っている。たいして美味いとは思わないし,お腹もいっぱいにならないが,お年寄りがこぞって食べていた。コシが全くないので,歯の悪い人には食べやすいのだろう。単に珍しいから食べていただけかもしれないが。

 うどんは,かけ,かき揚げ,えび天,山菜の4種類で,稲庭うどんを使用。

 ソフトクリームは,白いコーヒーソフトというのが非常に珍しい。プレミアムバニラソフトと見比べると,コーヒーソフトの方が白いのには驚いた。ボードを見ると,日本で食べられるのはここだけだそう。騙されたと思って食べたら,これがびっくり,とても美味しい。ベースとなっているソフトクリームがいいのだろう。コーヒーが苦手な人でも大丈夫だと思う。でも450円は高い。

 プレミアムバニラソフトの方は,バニラの味が結構強いので,味を誤魔化されてる感じはする。例えば近くの伊達市霊山町にある「牧場のジャージー」のソフトクリーム(ミルク味 260円。最高においしい!)などとは全然違う。まあ美味しいし,大型のカップにたっぷり入っているのだが,これも450円は高い。

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            (こちらはプレミアムバニラソフト)

 クレープは午後3時からで,チェーン店のSunny'sが提供。クリームなど10種類ある。もっちもちでボリュームがあり,お腹いっぱいになる。もちろん美味しいので,お勧め。満足度の高さでは一番かも。

 

 特産品コーナーは,情報コーナーとまでいホールをつなぐ通路にある。直売所とはレジも別になるので,利用しやすいとは言えない。美術品みたいなのを並べた方がいいのではないかと思ってしまうのだが,効率的でないところがまた飯舘村らしいのかもしれない。

 そして,ここでも,強気の価格設定が目立つ。飯舘産のものは当然ながらほぼなく,「日本で最も美しい村」連合加盟町村の特産品や,県内各地の特産品が並ぶ。

 そんな中,飯舘村に関わりのあるものとしては,ルピシアによる飯舘産イチゴのフレーバードティー(までい館限定,「いいたて雪っ娘かぼちゃ」のカレー&スープ,ナツハゼのジャムやお茶など。お勧めはフレーバードティーとカボチャのスープ。ただし,どれもいい値段である。フレーバードティーは1缶1,500円。

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 値段で驚いたもう一つは,「飯舘村道の駅クッキー」980円。村と関わりのある新宿の料理学校の生徒が作ったらしいが,あの量(大きさ)でこの値段というのは衝撃的だった。どこまで強気なのか…。

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 そして,それ以上に凄いのが,美術女子大学・美術女子大学短期大学部チャリティーショップにある作品。ぜひ実際に作品と値段を見て驚いてほしい。

 

 直売所では,飯舘産の農産物と,村民が避難先(福島市内)で生産した農産物が並んでいた。避難指示が解除されたばかりでこれだけ村内産の農産物があったのは驚き。帰村した方々が頑張ってるんだなと思う。お勧めは,村内産のインゲン。今年7月の初出荷の際には,新聞やテレビで取り上げられていたが,買って食べたところ,本当においしかった。ほかにも何種類か村内産のものが並んでいて,これからどんどん増えるのだろう。当然,厳しい放射性物質検査を受けているので,何の心配もない。

 花も,村内産のカスミソウをはじめ,珍しいものまでたくさん売っている。16,200円の胡蝶蘭もあって,道の駅でこんな高いのを買う人がいるのだろうかと思って見ていたら,おじいさんが1つお買上げされていた。

 冷蔵庫には,村関係では,ナツハゼのジャムなどが置いてある。

 

 までい館の東側には大きなガラスハウスがあって,そこで作られた花も一部売られている。開いているときは自由に中に入って見ていいらしい。商品として作られているもののほか,替えの花玉もあった。

 

 までい館のオープンに合わせて,村の公式ゆるキャラも登場した。「イイタネちゃん」という。あえてコメントはしない。頭の葉っぱは,花にもなるらしい。

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 「笑顔のタネ♪」という公式ソング(https://www.youtube.com/watch?v=1ctRyym36AE)も作られていて,福島県出身のお笑い芸人である白鳥久美子さんが歌っている。歌が巧いかは,???

 振りが細かすぎて手話ダンスのようなのは措くとして,白鳥さんが口を一文字に結んだまま踊る様子はかなり異様。プロモーションビデオじゃなくて振付の教材のよう。せめて口パクでいいから,歌いながら踊る方が自然だと思う。

 

 

 YouTubeでは,8月14日にドローンで空撮した映像も見つけた(https://www.youtube.com/watch?v=mb1EOo0Dg1A)。

 までい館の裏手は,今後,公園や村営住宅などが整備されるのだという。

 

 

 8月19日(土)のお昼には,福島テレビ「サタふく」が生中継をしていた。ゆるキャラのイベントをやっていたが,あまり天気はよくないものの,見ている人はほぼ皆無のようだった。きちんと宣伝をしたのだろうか。司会の人がすごく気の毒に見えた。道の駅の内部も,オープン当初と比べると客の数はやや落ち着いてきているようだった。駐車場はいっぱいに見えたが。

 サタふくの中継の仕方にも疑問が。藺草アナが一人でまでい館の中継をする一方,レギュラーコーナーで浜中が例によってバカ騒ぎしながら二本松市内で生中継。藺草アナは自転車でGoで見せる馬鹿さ加減を封印してか,全然面白くなく,浜中に完全に食われてしまっていた。こういう生中継は,どちらか一つにすべきだ。そのため中継時間も短くて,全てが中途半端だった。食レポも,ソフトクリームしか食べてないし(だったらせめてコーヒーとバニラを食べ比べしろと言いたい)。豚丼かカレーを食べてきちんとレポートすべきだった。なじみのない伊勢うどんを紹介してもよかったし。イイタネちゃんも出番が少なくて,せめて1曲踊らせればよかった。

 さらに,公式Facebookによると,メンテナンスのため,8月23日(水)は15時で営業終了,翌24日(木)は休館だそう。道の駅が休館なんて,あまり聞いたことがない。セブンイレブンは(当然だが)通常営業だそう。オープンしたばかりで,何をメンテナンスするんだろう。オープンしたばかりだからか?凝ったつくりをしてるので,メンテに時間がかかるのだろうか。

 

  8月25日(金)には,来場者が5万人に達したということで,5万人目の方に記念品が贈られたそう。どうやって5万人を数えたのかは謎だが。その一方,新聞記事で村長さんが人手不足だとおっしゃっていたのが心配である。

 までい館には,次のような掲示がされていた。

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 要するに,避難指示が解除されたばかりで人手が足りず,回らないということだろう。

 ということで,9月からは,セブンイレブン以外は毎週水曜日が定休日(12月31日から1月3日までも休み)となり,営業時間も18時までになるとのことだ。

 せっかくいい場所にあるので,早く人手が揃って,年中無休でやれるようになってほしい。

 

 そして更に残念なことが。

 クレープが9月28日で終了してしまうという。既に営業時間が午後3時から5時までに短縮されていたが,までい館では食べられなくなってしまう。

 とっても美味しかったので,非常に残念だ。入っていたのはSunny'sの東北絆店で,今後は,南相馬市のジャズモールで食べることができるらしい。

 までい館の中ではできなくても,移動販売店なので,時々来てほしい。

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 一方,までい館内で酒類の販売が始まった

 セブンイレブンとは違って,県内の地酒に絞って取り扱っている。もちろん,あの「飯舘」という酒も。

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 その後,飯舘村氣まぐれ茶屋ちえこさんが造っているどぶろくも取り扱うようになった。「どぶちえ」と「白狼」の2種類がある。飯舘村福島県内のどぶろく特区第1号だったそうだ。珍しいものなので,立ち寄ったときはぜひ買いたい。

 

 

 までい館本体の営業時間が3月まで1時間短縮されているが,平成30年2月1日からはさらに1時間短くなって,午後5時までになるという。期間は3月9日まで。理由はメンテナンスのためということだが,1か月以上,毎日1時間何をメンテナンスするのだろうか。確か,水曜日が定休日になったときも,その前に何度かメンテナンスという名目で休みがあった。何か勘ぐりたくなってしまう。

 

 去年10月には,中合からの出向の駅長さんが就任したというニュースがあった。そのときに,中合のイベントとタイアップしてまでい館でもイベントをやるという記事が出ていたように思う。そこで,中合でうまいものまつりのようなものをやる際には,までい館でも何か売るのではないかと期待して見ていたのだが,全然そのような気配はない

 中合の社長に騙されたのだろうか。そうだとしたら酷い話である。この後,2月には中合で四国物産展と九州物産展があるという。今度はまでい館でも何かやるのだろうか。