『キン肉マン』完璧超人始祖編完結

 平成23年11月から週プレNEWSで連載が続いていた,『キン肉マン』完璧超人始祖編が,やっと完結した。長かった。

 このダラダラした長さは,Ⅱ世でも感じたもので,Ⅱ世は耐えられずに途中で読むのをやめたのだが,こちらは何とか最後までお付き合いできた。

 Ⅱ世以降,マンガの絵は非常に精緻になり,初期のキン肉マンとは,とても同じ人が描いてるとは思えないほど立派なものになっていた。しかし,それで面白くなるかというと必ずしもそうでないのが難しいところだった。

 

 初期のキン肉マンを知っていて,そちらも愛してやまない人からすると,絵と舞台背景が精緻かつ立派になるにつれ,だらけて面白くないと思ったのではなかろうか。

 まだ全部コミック化されていないので,最終的に何巻になるか分からないが,38巻から始まって,60巻は下らないはず。

 だらけて感じるのは,セリフが長いことと,絵が立派で1つのコマが大きいせいかと思う。あんなに喋りながら闘えるのか!と突っ込みたくなるし,絵が精緻すぎて,かえってアップのところではどういう状態か分からないことがよくあった。

 まれにキン肉マンがふざけるシーンが出ると非常に浮くし,「友情」を振りかざしたりして立派なことを言うと何だか白けるという悪循環もあった。

 ネメシス戦の最後も取って付けたような終わり方でおかしい。さすがにあれはないと思う。

 最後が,キン肉マンの闘いでなく,悪魔将軍(ゴールドマン)の闘いだったというのも異常だった。尻切れトンボ感が強いし,これでは誰が主人公だか分からない。本当は,悪魔将軍が負けて,その後にザ・マンとキン肉マンの闘いを予定していたのが,長くなりすぎたので打ち切ったようにも思える。ネプチューンマンも,何をしに出てきたのか分からない。

 

 文句ばかり書いたのは,キン肉マンを愛するが故。

 最後に何か屁理屈を付けてまた復活すると思っていたロビンマスクが復活せず,全く忘れられたように終わってしまったのも意外。おそらく,次のシリーズのどこかで復活するのだろうが。

 相変わらずラーメンマンは強く,テリーマンは口ばかりで弱かったのが印象に残るが,完璧超人始祖の面々は,ネメシスとサイコマン以外はあまり印象に残らなかった。ザ・マンは,悪魔将軍とは,武道のお面と防具を脱いで闘うべきだったと思う。

 ロビンマスクなどが最後に復活しなかったのも,次のシリーズへの布石かもしれないが,残念。

 それと,これまでのシリーズでは,どこか切なく,ホロリとさせるエピソードがあちこちに挟まっていて,強い印象を残したものだが,そういうものもほぼなかった。

 

 次のシリーズでは,テンポのいい展開と,涙なしに読めないようなエピソードの挿入を期待したい。絵は多少雑でもいいから,ストーリーで勝負してほしい。