クリスティアン・ティーレマンという指揮者は苦手だ。はっきり言って,何がいいのか全然分からない。
ティーレマンは,ブルックナーの生誕200年である2024年に向けて,ウィーン・フィルと交響曲全集を制作中である。ウィーン・フィル初の同一指揮者による全集として注目されていて,今回,第5番が発売された。
ティーレマンは,16歳のときにカラヤンとベルリン・フィルによるこの曲の演奏を聴いて衝撃を受けたとのことであり,既にミュンヘン・フィルとも録音しているなど,得意にしているようだ。
早速聴いてみたが,やはりティーレマンの何がいいのかはさっぱり分からなかった。むしろ,何がダメなのかが見えてきた。
まず,リズムが悪い。ダラダラしていて,緊張感がない。アインザッツがそろわないのも目立つ。棒が分かりにくいのだろうか。棒の振り方が,普通と上下逆の動きをするということは指摘されているが,そのせいなのだろうか。そして今回特に気になったのは,音自体に緊張感がなく,だらしないこと。例えば,第4楽章の最後のところ,オケが全力で演奏しているはずなのだが,どうもスカスカに聞こえるのだ。カラヤンの演奏では,こういうことは絶対にない。
以前は割と賛否両論だったように思うが,最近は絶賛ばかりのように思う。本当に,この人の演奏の何がいいのだろう。よほど人がいないからなのか。