今日(2018年10月14日),福島市音楽堂で開かれた「ルツェルン祝祭管弦楽団のメンバーらによる室内楽の調べ~ハーゲン弦楽四重奏団と仲間たち~」を聴いた。
14時開演。福島市が東京オリンピックのスイスのホストタウンになったということで,駐日スイス大使が冒頭に挨拶され,ロビーにはスイスを紹介するパネルが展示されていた。
【曲目】
(アンコール)モリコーネ:映画「ミッション」~ガブリエルのオーボエ
(休憩 20分)
4.ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調Op.131
(アンコール)シューベルト:弦楽四重奏曲第13番イ短調D.804,Op.29-1《ロザムンデ》~第2楽章
最初の2曲(アンコールを入れて3曲)は,マーラー室内管弦楽団の首席オーボエ奏者である吉井瑞穂さんとギターの鈴木大介さんのデュオ。
1曲目は元々フルートとチェンバロ,2曲目はオーボエとチェンバロの曲だが,ギターとのデュオは素敵。クラシック音楽でギターはマイナーだが,大好き。
吉井さんは喉の調子が悪いのか,途中水を飲みながら演奏していたが,演奏は全く問題なし。
後半はハーゲン弦楽四重奏団の演奏。元々,弦楽四重奏は苦手で,普段はめったに聴かないのだが,ハーゲン弦楽四重奏団が来るというのでは行かねばならない,弦楽四重奏を好きにしてくれるかも,と期待して行った。
ヴィオラのヴェロニカ・ハーゲンが腕を負傷したとのことで,急遽アイリス・ハーゲン=ユダが代役で出演。過去にも代役を務めたことがあるそうで,演奏を聴いていても特に違和感はなかった。姓に「ハーゲン」が入っているが,ハーゲン一家とどういう関係があるのかは分からない。やたらと足が長い。
ヴィオラが代役になったことで,希望者にはチケットの払い戻しも行われたようだが,そんな人はいたのだろうか。
これだけの世界的な出演者の割には,客の入りは6~7割程度で,ちょっと残念な感じがした。もっとも,拍手はすごかったし,「ブラボー」を叫ぶおっさんもいてやかましかったが。
なぜ弦楽四重奏が苦手なのか。聴いてて面白くないからなのだが,やはり理由はある。
まず,弦楽器だけなので音色が単調に感じられること。これはどうしようもない。作曲家はいろいろ工夫しているのだろうが。
次に,よくオーケストラの基本は弦楽四重奏,とか言われるが,逆に言うと,音色が単調だというのとも関係するが,骨格だけでできているように感じてしまい,どうしても物足りない。
さらに,ほかの室内楽と比べても,聴く方からすると,名技性を楽しめるように書かれた曲がまずない。これも,アンサンブルを楽しむものなので,誰かの名技を楽しむものでないから,しょうがないと言えばしょうがないのだが,やはり物足りない。
そして,一番は,聴いていて疎外感を感じること。演奏家はそんなつもりはないのかもしれないが,人に聴かせるよりも自分たちが演奏して楽しむという感じがものすごく強い気がする。仲間じゃないと楽しめない気がするのだ。室内楽というのは基本的にそういう感じをさせるのだが,特に弦楽四重奏はその傾向が強いように思う。おそらく,弦楽四重奏団はほとんどが常設でメンバーが替わらないからだろう。どうにも,入っていけない感じがするのだ。
そんなことで弦楽四重奏は苦手なのだが,もちろん,演奏は素晴らしかった。CDなどで音だけ聴くよりも,目の前でどの音を誰が弾いているのか分かるので,見ていて面白い。
それにしても,ベートーヴェンの最晩年の曲というのは不思議だなと思った。この世の音楽という感じがしない。どこか,つかみ所がない。いわゆるベートーヴェン臭さがない。
結局,この日の演奏会で弦楽四重奏が好きになったかというと,そこまでは行かなかった。確かに,比較的小さなホールで生で聴くのはいい。CDやテレビ放送を聴くのに比べれば,目の前で弾いているので疎外感も少ない。また聴きに行きたいと思った。特に,福島市音楽堂のように響きがとても豊かだと,骨だけみたいな感じが少なくなってよい。しかし,日常的にCDで聴くかといえば,やはり聴かないと思う。
さて,この日はスイスの大使が挨拶に来たが,木幡浩福島市長も来ていて,冒頭に挨拶した。クラシック音楽に造詣が深いのかは知らないが,選挙のときのプロフィールにはそのようなことは書いてなかったように思う。挨拶を聴いても,特に詳しいという感じはしなかった。音楽堂のネーミングライツを売っちゃうくらいだから,クラシック音楽に思い入れはないのだろう。
それより,挨拶を聴いてて気になったのは,話の頭にいちいち「えーーー」と言うこと。聴きづらいこと甚だしい。やめたほうがいい。
「えー」と言うクセは,自分では分からないようなので,誰かが言ってあげないとダメだ。「市長,聴きづらいし,頭悪そうに聞こえますよ」と。