公共施設のネーミングライツなんてもうやめるべき

 福島市の3つの公共施設で募集していたネーミングライツの契約相手と愛称が決まったのだという。

 桜木町にある「福島市児童公園」が「ふくしま児童公園SFCももりんパーク」に,山田(大森城山の南)にある「福島市パークゴルフ場」が「NCVふくしまパークゴルフ場」に,建設中の体育館・武道館が「NCVふくしまアリーナ」になるのだという。

 市役所には苦情の電話が殺到しているのではないか。

 

 特に,児童公園は開園して60年以上経つ施設で,福島市内で「児童公園」といえばここのこと,というくらい,長い間市民に愛されてきた施設だ。

 おそらく,これからも,誰も「ももりんパーク」なんていう呼び方はしないだろうし,まして「SFC」なんていう名前は誰の口からも出ないだろう。

 しかも,ネーミングライツを取得したエスエフシー(株)というのは,現在の児童公園の指定管理者なのだという。おそらく,児童公園の運営は赤字だと思う。何せ,乗り物は全て50円か100円なのだ。冬場は極端に利用者が少なくなる。黒字経営ができるわけがなく,その分は市から指定管理委託料として支払われているはず。そんな会社が,年間200万円を払ってネーミングライツを取得するというのはおかしくないか。エスエフシーの詳しいことは分からないが,一応,ネーミングライツ料は市からの委託料とは関係なく,会社のもうけから出しているということになるのだろうが,釈然とはしない。

 それに,名前が変わればパンフレットから何から全部変える必要があるが,そのお金は市とエスエフシーのどちらが負担するのだろう。エスエフシーが負担するとしても,結局は指定管理委託料に上乗せされる可能性がある。それでは,巡り巡ってエスエフシーの宣伝に税金が使われるだけ,ということになる。

 きちんと調べないと分からない話だが,市会議員なり,オンブズマンなり,調査できる人には,徹底的に調べてほしい。

 

 パークゴルフ場はよく分からないが,体育館と武道場は新しくできる施設なので,こちらもインパクトは大きい。市民が何と呼ぶようになるか分からないが,「NCV」なんていう名前を言う人はまずいないだろう。5年間の契約だというが,その後この会社が手を引いたら,呼び方に困るのは福島市民だ。

 

 福島市内の公共施設でネーミングライツによりおかしな名前に変わったのでよく知られているのは,県文化センターと県営あづま球場だろう。

 どちらも,地元の銀行である東邦銀行ネーミングライツを取得し,それぞれ「とうほう・みんなの文化センター」,「とうほう・みんなのスタジアム」という「愛称」になっている。しかし,こんな恥ずかしい名前で呼ぶ県民は,いない。センスがなさすぎる。金で名前を買った連中に,「みんなの」なんて言われたくない。

 マスコミにしてもそうで,今回,東京オリンピックの会場になったことから大規模改修されることになったが,新聞等を見ても,ほとんどの記事で「とうほう・みんなのスタジアム」なんていう名前は出てこない。「県営あづま球場」としか出てこない

 ネーミングライツなんて,無駄に混乱させているだけで,何の意味もないという証拠である。

 東邦銀行の顧客からすれば,そんなのに金を使うくらいなら,預金金利を上げるなり,貸出金利を下げろ,と思う。

 住民からすれば,自分たちの伝統ある大事な施設におかしな名前をつけやがって,となる。

 ネーミングライツを取得して,愛称に会社の名前を入れても,企業イメージのアップにはつながらないと思う

 

 何にしても名前というのは大事なもので,目先の金に目がくらんで魂を売るようなことをすべきではないと思う。

 仙台の宮城球場だって,コボスタの愛称がやっと定着してきたと思ったところで急に変更になり,騒ぎになったばかりだ。

 もう,いい加減こういうドタバタが起きるようなことはやめるべきではないか。名前がコロコロ変わって迷惑するのは,住民である

 

 福島市の今回の3件について言えば,おそらくは小林前市長のときにやることが決まっていたことだと思うが,特に児童公園については,木幡市政の汚点として長く残ることになりかねない。「結局,よそ者だからな」と。小林前市長もよそ者だったわけだが。

 今回の契約は途中で打ち切れないだろうが,木幡市長の英断により,2年後はネーミングライツをやめることを期待したい