日本では見られないデジタル・コンサートホール

 ベルリン・フィルのオンデマンド放送である「デジタル・コンサートホール」(DCH)には,いくつか日本では見られないものがある。

 PC用のサイトで見た場合で言うと,「当映像は契約の都合により日本国内ではご覧いただけません」と書いてあって,見ることができない。

 それらは,ジルヴェスター・コンサート,ヨーロッパ・コンサート,ヴァルトビューネ・コンサートで,要するに,日本ではNHKがBSで放送するものである。

 

 しかし,これは明らかにおかしい。

 NHKもだが,そういう契約をするDCHはユーザーを愚弄している。その分金を返せと言いたいくらいだ。おそらく,NHKから多額の放映権料をもらう代わりに,日本のユーザーに制限をかけているのだろう。

 NHKの方では,これらのうち一部をNHKオンデマンドで有料放送している。しかし,全部ではない。NHKオンデマンドのユーザーの全てがDCHに加入しているわけではないし,クラシックファンの多くは録画してしまうので,NHKオンデマンドとDCHの両方で見られたとしても,NHKにたいした不利益があるとは思えない。

 ということは,DCHがNHKにこのような契約を押しつけて,儲けていると考えるのが自然だ。その見返りに我々がDCHで見られないとしたら,あまりにもふざけている。

 しかも,単にDCHで見られないだけでなく,NHKの放送は結構遅れて放送されるので,見られるようになるまでのタイムラグがかなりある。

 

 そして,直近の演奏会は上記のような表示が出て視聴不可とされているが,もっと前のものは,アーカイブで検索しても出て来ないようになっている。日本以外でもそうなのだろうか。ここはよく分からないところだ。

 

 百歩譲って,NHKの放送まで,あるいはその後数か月程度はDCHで見られないとしても,その後は視聴できるようにすべきだ。

 こういうことを続けていると,ユーザーは離れていくだろう。

 

 一方,2016年末に,ラトル指揮の第九がBSフジで放送されたが,こちらは今でも日本国内の視聴制限はかかっていない。

 これは,2015年10月16日の演奏会なので,古いからということもあるのかもしれないが,日本国内での視聴制限をかけずとも,テレビ局に提供することは可能だということである。

 BSフジは無料放送,NHKは受信料が取られる,という違いはあるが,NHKも1番組ごとに支払う形態ではないし,強制加入なのだから,ユーザーとしては,ほかの有料放送よりは無料放送に近いものである。

 

 とにかく,DCHには,NHKとの契約を見直し,日本国内のDCHユーザーに不当な不利益を与えないように,即刻改めてもらいたい。

 こういった状態は,何か違法行為に当たらないのだろうか。