Amazon Music HDレビュー①

 mora qualitasからAmazon Music HDに乗り換えて1か月以上経った。

 曲数があまりに違うので比較にならないくらいなのだが,そのつもりで聴きたい曲を探すと,意外とAmazonにもないアルバム/レーベルが多いのが分かった。

 CDと違って発売日がはっきりしていないので,いつ配信されるのかもさっぱり分からず,最新録音がすぐ聴けるとは限らないことも分かってきた。

 加入したところ,HDは90日無料キャンペーン対象だったのにはひどく得した気がしたが,だんだん問題点・不満点も出てきた。

 順次書き残しておこうと思う。

 

1 ハイレゾが意外と少ない

 Amazon Music HDの場合,いわゆるハイレゾ(音質は様々)の「ULTRA HD」,CD音質の「HD」,256kbpsの不可逆圧縮である「SD」の3種類があり,ULTRA HDとHDが聴けるのがポイントなのだが,意外とSDの曲が多く,ULTRA HDが少ないというのが印象である。

 ハイレゾ音源がある曲の場合,mora qualitasだとハイレゾとCD音質の両方を選んで聴けるのがほとんどだが,Amazonではどちらかしかない。

 

2 1つのアルバム内でULTRA HDとHDが混在

 これはかなり驚いたのだが,同じアルバム内でULTRA HDの曲とHDの曲が混在しているものが結構ある。

 曲の人気度とは関係ないようなので,どういう基準でそうしているのか分からないのだが,かなり不思議だ。

 やはりAmazonが「音楽」を大事にしておらず,「商品」としか考えていないことの証拠の一つだと思う。

 例えば,ラトル指揮ベルリン・フィルマーラーの復活(2種類がアップされているうちの片方)では,第5楽章が複数のトラックに分けられているので全部で11トラックに分かれている(第5楽章が5~11トラック)が,このうち2と6~11トラックがHDで,ほかはULTRA HDなのだ。

 つまり,第2楽章と,第5楽章の途中から最後までがHDなのである。

 第5楽章のULTRA HDとHDの境目を注意して聴くと,ノイズこそ入らないものの,明らかに音が途切れている。ライヴ録音で,会場ノイズが結構大きいので分かるのだ。CDと聴き比べてみたが,間違いない。

 ちなみに,アップされているもう片方は全部ULTRA HDになっている。この辺も謎だ。なお,この音源も,トラック5と6の間で一瞬音が途切れる。ということからすると,HDとULTRA HDの境目のギャップレス対応がどの程度なのかは,この曲からははっきり分からない。

 

3 ギャップレス再生が不完全

 Amazon Music HDはギャップレス再生に対応しているとアナウンスされている。

 インターネットの記事でも,そういう書き込みが複数確認できた。

 しかし,よく聴くと,ギャップレス再生が不完全であることが分かった。

 ワーグナーなど切れ目のないオペラを聴くとすぐに分かるが,トラックの境目で小さいノイズが入るあるいは,音が一瞬微妙に小さくなる

 mora qualitasやspotifyではこういうことはなかったので,ギャップレス再生は技術的に不可能ではないはずだ。

 ここからも,Amazonの音楽に対する姿勢が分かる気がする。音楽を大事にしていない。

 

(続く)

 

 

 音楽を大事にしているかということで言うと,明らかにmora qualitasの方が上だと感じる。

 とはいえ,曲が少ないのは何ともしがたい。サブスクは,聴きたい曲が聴けてなんぼなのだから。

 早くソニーに本気を出してもらいたい。そうすればすぐmora qualitasに戻るだろう。