mora qualitas再び

 以前,お試しで利用してみたソニー音楽配信サービスmora qualitasだが,有料契約はしなかった。

 その後,Amazon Music HDとSpotifyも使ってみて,サブスクの便利さが分かり,どうせなら音質のいいサービスをと思い,mora qualitasに加入することにした。

  ハイレゾが聴けるというのならAmazonの方が曲数が圧倒的に多いし,値段も安いのだが,Amazonはどうも使い勝手が気に入らず,ソニーを応援したいということもあってmora qualitasにしたのだが,だんだん不満がたまってきている。

 何とか改善していいサービスになってほしいと思い,今感じている弱点をまとめておく。

 

1 曲数が圧倒的に少ない

 これは,多くの人が指摘しているが,一番の弱点だろう。

 ほかのサブスクが5,000万曲とか6,000万曲とか言っているところ,公式には発表されていないが500万曲くらいじゃないかと言われている。

 実際,AmazonSpotifyと比べると,明らかに少ない。聴きたい曲がない

 クラシックについて言うと,ユニバーサル,ワーナー,ソニー以外のレーベルはほとんどないんじゃないかと感じるくらいである。中堅,マイナーなレーベルの曲はほとんどない。古いものだけでなく,最新のリリースもない。

 2020年度のレコード・アカデミー賞の金賞・銀賞・銅賞すらない。金賞と銅賞はエラス=カサド指揮のハルモニア・ムンディのもの,銀賞はガーディナー指揮のSDGのもの(日本ではどれもキング・レコードから発売)であるが,これらのレーベル自体がない。もちろん,AmazonSpotifyでは聴くことができる。ほかにも,シャンドスやBISといったレーベルは聴けない。

 

 サービス開始直後は「後発だから仕方ない」と言われもしたが,既に1年以上たっており,言い訳のできる期間は過ぎている。そもそも,後発だからこそほかよりも多くの曲を揃えなければいけないのである。ほかのサービスと同じかそれ以下だったら誰も利用してくれるわけはないではないか。ほかと同じかそれ以上の曲を揃えた上で,mora qualitasでしか聴けないレーベルがある,ということでないとダメだ。

 また,クラシックではないが,例えばYMOの曲など,ソニーからCDが出ているアーティストの曲がないのもある。moraやSpotifyなどにはあるのに,だ。

 また例によってソニー内部の縦割りの弊害のせいで配信されないのではないかと勘ぐってしまう。何を考えているのかさっぱり分からない。

 とにかく,今の曲数は致命的だ。何と言っても値段が高いのだから,音がいいんだからというのは全く理由にならない。

 

2 検索しづらい

 これもいろんな人が指摘しているが,検索が非常に弱い。聴きたい曲がなかなか見つからない。ないからではなく,あるのに,だ。

 これはクラシック音楽特有の問題でもあるので,詳しく書かない(ものすごく詳細な分析をしないと無理だ)が,日本語(カナ)かアルファベットか,作曲家か演奏家か,演奏家でも指揮者だと全然引っかからなかったり(オペラなど)など,気が遠くなる思いをして曲を探している。

 

3 曲名・演奏者名が不十分

 検索しづらいこととも関係するのだが,曲に関する情報が全く不十分で,何の曲で誰が演奏しているのか全く分からないものもある。特に,全集ものやコンピレーションアルバムでそうだ。

 同じアルバムならどのサブスクでも同じなのかと思ったらそうではなかった。

 例として,グラモフォンから出ている「THE ART OF SERGIU CELIBIDACHE」のmora qualitasとSpotifyの画面を上げておく。

 mora qualitasの方は,何の曲なのか,どこのオーケストラなのかさっぱり分からない。Spotifyは,不十分だが何とか分かる。

 

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mora qualitas

 

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Spotify

 

 こうなると,もはやmora qualitasは「聴くな!」と言われているかのようだ。せめて,曲の詳細なプロパティでも見られるならいいが,そういう機能はないようだ。

 

 また,オペラなどでは,指揮者で検索しても全然引っかからないのでなぜかと思ったら,次のようになっているからだった。

 

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mora qualitas

 

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Spotify

 

 見て分かるとおり,mora qualitasはその曲を歌っている歌手の名前しかないのだ。しかもカナとアルファベットがごちゃまぜ。メチャクチャである。

 これでは検索しても引っかかるわけがない。Spotifyと比べれば明らかだが,曲名と演奏者名は手抜きをしているとしか言いようがない

 

4 歌詞表示がほとんどできない

 多くのサブスクサービスは歌詞表示に対応しているようだ。Spotifyはほとんどの曲で当たり前のように歌詞表示が可能である。

 mora qualitasもホームページでは「もちろん,歌詞表示にも対応します。(順次対応)」と書いてあるのだが,歌詞表示できる曲はまだ見たことがない

 「順次対応」しているのかどうかも分からないが,対応が遅すぎる。

 

 

【結論】

 この記事を書きながら,契約してまだそんなにたっていないが,もうやめようかと思い始めている

 サブスクのいいところは,簡単に乗り換えができるところだと思っている。とにかく,自分が聴きたい曲がたくさんある方かどうかが一番だ。

 Amazon Music HDは気に入らないところがあるが,そうも言っていられなさそうだ。とにかく,聴きたい曲がないのでは話にならないのだから。音質はmora qualitasの方が上(最大サンプリング周波数はAmazonの方が上だが)との評判も聞くが,素人が分かるほどの違いはないだろう。

 

 ソニーにはこれまでも散々やられてきた。ベータこそ使っていないが,ATRACSonicStagex-アプリMedia Go,MD,Hi-MDDVD+R/RWなどなど,枚挙にいとまがない。

 最近では,余りにも不安定で全く使い物にならないMusic Center for PCに困っている。これもそのうちなくなるのではないか。このところアップデートもしていないし。

 まずは曲数を何とかし,さらに,DSDでも配信するとか,ほかにないサービスを導入しないとかなり厳しいだろう。

 このままだと1年ともたないのではないか。ネットで情報を検索しても,最近の情報はほとんど何も出てこない。利用者が少ないのだろう。

 3か月くらいは黙って使ってみたいが,そこまで我慢できるだろうか。