本当のATRACの終焉が来た

 2019年11月発売の新型ウォークマン(ZX500シリーズとA100シリーズ)が,ついにATRAC系フォーマット非対応になるらしい。

 いつかは来るとは思っていたが,ソニーには,それならそれで救済措置をきちんと考えてほしい。つまり,今あるATRAC系のデータをどうするかということだ。

 

 しかし,残念ながら,これまで散々迷走してきたソニーに期待するのは厳しいので,自分で何とかしないといけない。

 ATRAC系は非可逆圧縮なので,それを同じ非可逆圧縮のmp3やAACに変換したのでは,音質の劣化は避けられないし,ATRAC系の売り(?)であったギャップレス再生には完全には対応できない。

 となれば,FLACに変換して引き続き聴けるようにするのが一番いいということになる。もちろん,著作権保護されていないファイルしか無理だろう。幸い,既に著作権保護された曲は持っていないので,問題ない。

 

 幸い,今の最悪なMusic Center for PCでなく,前のバージョン,そしてMedia Gox-アプリがある(SonicStage CPは,Windows 10の1903にしたら使えなくなった)ので,これらを駆使して何とかしようと思う。

 

 一番簡単なのは,Media Goを使って直接FLACに変換する方法である。これはいろんな方が書いているので,Media Goさえ入手できれば,非常に簡単な方法である。ビット数とサンプリング周波数を間違えさえしなければよい(ATRAC系は16bit/44.1kHzだが,16bit/48kHzも選べる)。

 ところがここに大きな落とし穴があった。Media Goで直接FLACに変換すると,曲間にノイズが入る場合があることが分かったのだ(Media Goはギャップレス再生には不完全にしか対応していないので,ウォークマンに転送して検証した)。

 これには困った。

 もっとも,曲の両端が無音の曲であれば実質的に問題はないだろうが,オペラなどではダメだ。試したところ,「ポツッ」という音が半分以上の確率で入ってしまっていた

 解決する方法が一つあるが,かなり手間にはなってしまう。

 一旦WAVファイルに変換し,それを更にFLACに変換すれば,曲間にノイズは入らない

 まず,x-アプリ(かMusic Center for PC)でWAVに変換する(Media GoはWAVに変換できない)。そしてこれをMedia GoFLACに変換すればよい

 とりあえず,x-アプリでWAVに変換すれば,曲間にノイズが入らないことは確認できた。Media GoでWAVからFLACに変換する際にはノイズは入らないはずなので,大丈夫なはずだ。

 これがおそらく一番確実だが,WAVはタグ付けが不完全だし,直接FLACに変換するのに比べると,時間も手間もかなりかかってしまう

 Media Gox-アプリに変換するファイル以外を取り込んでいなければそれほど面倒ではないが,ほかに膨大な曲がある中で変換作業をするのは,一気にやろうとすると曲が迷子になってしまいそうで怖い。

 

 ソニーには,ATRACに最後まで責任を持ってほしい

 ぜひ,ATRAC系ファイルをほかのフォーマットに変換するための専用のソフトを作ってもらいたい。それがユーザーに対する責任だし,これまで散々迷走したために(今も迷走しているわけだが)迷惑をかけたユーザーから信頼を得る方法の一つになる。

 どうせだから,FLACだけでなく,MP3でもAACでもWAVでもMQAでも,手軽に完璧に変換できるソフトを出してほしい。例えば,ギャップレス対応のために一度WAVに変換するようなモードがあってもいい(その分変換には時間がかかるが,タグ情報を完璧に引き継いで自動でやってくれればいい)。

 以前は,MP3に変換するための「MP3 Conversion Tool」をいうのを出していたこともあるではないか。

 

 本当にお願いします。ソニーさん。その上で,Music Centerを何とかしてくれれば,これからも安心してウォークマンを使い続けられると思いますよ。

 

 今回の新型の発表を受けて,まだ引き続き発売されるA50シリーズを買おうかとも思ったが,今使っているF887がまだ使える(バッテリー交換したので)うちはどうしようかと悩んでいるところ。

 しかしやはりいずれはATRACは終わるので,F887が壊れるまで,FLACに変換して来たるべき日に備えようかと思う。

 

(追記)

 いまだにMusic Center for PCはバージョン1を使っていて,バージョン2にする気がさらさらなかったので気が付かないでいたが,2019年10月24日リリースのバージョン2.2.0にATRACファイルを一括してFLACAACに変換する機能がついていた

 このアップデートではかなり大がかりな変更が行われていて,ソニーのホームページによると,アップデートされた主な内容は次のとおり。

  • Walkman® NW-A100シリーズとNW-ZX500シリーズを対応機器に追加
  • Music Center for PC の表示色を変更する機能を追加 (ブラック、レッド、ブルー、グリーン)
  • マイライブラリーをバックアップおよび復元する機能を追加
  • マイライブラリーのアルバム、最近追加した曲、プレイリスト画面上で一覧を表示する機能を追加
  • マイライブラリー内のATRACを検索し、AACまたはFLACに一括変換する機能を追加
  • マイライブラリ―内でリストの表示間隔を変更する機能を追加
  • マイライブラリ―内の曲をFLAC形式で保存する機能を追加
  • マウスホイールで音量調整できるように改善
  • 画面解像度が低い場合の使い勝手を考慮し、メインウィンドウの最小サイズを変更
  • Media Goで作成したプレイリストをライブラリーから削除したにも関わらず、再び取り込まれることがある問題を修正
  • その他、動作安定性、パフォーマンスの向上

 

 さっそく,サブ機に入れていたMusic Center for PCをアップデートして,幾つかのATRAC 3 PlusのアルバムをFLACに一括変換してみた。

 使い勝手なども含め,詳しくは改めて書こうと思うが,Media GoFLACに変換したときとは異なり,曲間でノイズが発生するということはなかった

 現時点での問題は,変換する曲を選べないので,1万曲近くあるファイルを変換するのにどのくらいの時間がかかるのか,ということだ。

 

 少なくとも,バージョン1よりは良くなっているように思えたので,メイン機のパソコンもアップデートしてみて,動作を検証してみようと思っている。