ベルリン・バロック・ゾリステンwith樫本大進 ジョナサン・ケリー(福島市音楽堂)

 今日(2019年6月29日),福島市音楽堂で「ベルリン・バロック・ゾリステンwith樫本大進 ジョナサン・ケリー~ライナー・クスマウル・メモリアル・ツアー2019~」を聴いた。

 15時開演。開演前は霧雨で,終わった頃は本降りという生憎の天気だったが,客席は9割以上埋まっていたように見えた。

 

 曲目は,以下のとおり。

① J.S.バッハ:フルート,オーボエ・ダモーレとヴァイオリンのための三重協奏曲ニ長調BWV1064(ヘルムート・ヴィンシャーマン版)

② J.S.バッハブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調BWV1050

③ J.S.バッハオーボエとヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV.1060R

(休憩)

④ ヴィヴァルディ:協奏曲集《四季》Op.8-1~4

⑤(アンコール) ヴィヴァルディ:協奏曲《冬》Op.8-4~第2楽章

 

①の原曲は3台のチェンバロのための協奏曲第2番で,ヴィンシャーマンが編曲した珍しいもの。CDは,ヴィンシャーマンが録音した2種類(うち1978年の録音では,ライナー・クスマウルがソロを弾いている)くらいしかないよう。ちなみに,ベルリン・バロック・ゾリステンは,2000年に3つのヴァイオリンのための協奏曲版を録音している。ソロは,フルートがスザンネ・ホプファー=クスマウル(故ライナー・クスマウル夫人),オーボエ・ダモーレがジョナサン・ケリー,ヴァイオリンがヴィリ・ツィンマーマン。

②のソロは,チェンバロがラファエル・アルパーマン,フルートがホプファー=クスマウル,ヴァイオリンがツィンマーマン。

③のソロは,オーボエがジョナサン・ケリー,ヴァイオリンが樫本大進

④のソロは,もちろん樫本大進

樫本さんは,休憩後の④から登場かと思ったら,③から登場。ツィンマーマンは③と④ではコンサートマスターとして演奏に加わっていた。

②以外では,第1ヴァイオリンに町田琴和さんが出演。

 

①の最初の音から芳醇な素晴らしい音がホールに広がって,さすが超一流の演奏だと思わせるものだった。

モダン楽器で,ヴィヴラートありだが,もちろん,今どきの演奏スタイルで,キビキビした「攻めた」演奏。とはいえ,かなりホールトーンをうまく使ったたっぷりした音。

特に《四季》での樫本さんはかなり攻めていたが,それでもみんな上品さを失わないのはさすが。気になったのは,樫本さんのソロの音がかなり大きいので,ソロからバックのトゥッティに移る場面で,何度か,ソロより音が小さく,おやっと思うところがあった。

もっともそれは些細なことで,会場は大盛り上がりだった。

 

残念なことに,《秋》の第1楽章が終わったところで携帯を鳴らしたバカがいて,演奏者の皆さんが困った顔をすると,会場から笑い声が起きたが,もちろん,笑い事ではない。

演奏中も,いつもより咳の音が多かったように思った。

 

終演後は,CDを買った人対象にサイン会が開かれて,結構な人が並んでいた。

 

全国ツアーなので,首都圏での公演をNHKが録画していてくれないかな(放送するとしたら,「クラシック倶楽部」で一部だけの放送になちゃうだろうが)と,他の公演を調べると,6月26日のすみだトリフォーニーホールでの公演は,同じ曲目だが,チケットの値段が約2倍(S席の場合)なのが分かった。

こういうときだけは,地方でよかったと思ったが,山形テルサの方はもっと安かった。何とも微妙である。