三木聡監督の新作映画「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」が大コケなのだそうである。
三木監督の映画やドラマが大好きなので,今回のも公開2日目の朝イチで見に行ったが,確かに観客は10人もいなかった。
阿部サダヲと吉岡里帆の主演,脇役も実力派が揃っているし,見れば面白いので,なぜ大コケなのかは,ファンからするとよく分からない。ぜひ多くの人に見て笑ってほしい。
もっとも,三木監督得意の小ネタは,今回は少ないし,三木監督のファンじゃない人からすると大して面白くもないかもしれない。この手のギャグは最近流行らないかもしれないとは思う。ちょっとズレてる感じはしないないでもない。だけど,小ネタの類いは実際に見ないと分からないので,それはコケたこととは関係ないだろう。
三木監督の映画は,ゆるい脱力系のコメディで最後にホロリとさせられるものと,シュールでどぎつくやや暴力系のものとの2つのタイプに分けられると思う。
今回の「音量を上げろタコ!」はどちらかというと後者だろう。
より好きなのは前者の方で,「亀は意外と速く泳ぐ」や「転々」,ドラマだと「時効警察」なんかがそう。この3つはあらゆる日本映画・ドラマの中でも大好きなものだ。
今回の「音量を上げろタコ!」は制作にWOWOWが入っていて,番宣もしているし,主演の阿部サダヲの映画は10月に特集を組んで放送していた。
しかし,三木監督の過去の作品は全然放送してくれない。11月のプログラムガイドを見ても,皆無である。これでは宣伝にならないではないか。
それほど多くの本数があるわけでもないのだから,WOWOWで全作品を一挙放送するくらいはやってほしい。どの作品もブルーレイ化されてないので,ハイビジョンで放送する価値は非常に高いのだ。
それにしても,邦画のブルーレイ化は遅れている。DVDが出ているだけでもマシという状況は何とかしてほしい。
三木監督ではないが,脱力系コメディで大好きな映画に石井克人監督の「茶の味」がある。これもブルーレイ化されていない。映像が美しい作品なだけに,ブルーレイ化する価値は高い。ぜひお願いしたい。絶対に買うので。
そういえば,三浦友和さんが好きになったのは,「茶の味」と「転々」のおかげだ。若い頃は格好付けた嫌な奴というイメージがあったのだが,この頃から二枚目なのにコメディもできる,脇役もうまくやれる大俳優になったと思った。また楽しい役柄で活躍するところを見せてほしい。