キリル・ペトレンコとベルリン・フィルのベートーヴェン交響曲第7番

 ベルリン・フィル・デジタル・コンサート・ホールで,8月24日にキリル・ペトレンコが指揮した定期演奏会を見た。と言ってもまだ全部をじっくり聴いたわけではないのだが,これがまた凄まじい演奏だった。

 

 前半がリヒャルト・シュトラウスの《ドン・ファン》と《死と変容》,後半がベートーヴェン交響曲第7番というプログラムで,ペトレンコがベルリン・フィルとドイツの王道プログラムで勝負するのは初めてと言っていいと思う。

 《ドン・ファン》も,例えばラトルのアジア・ツアーでの演奏と比べてもずっとキビキビして引き込まれる演奏だったが,圧巻はもちろんベートーヴェンだった。

 部分的にノン・ヴィブラートで弾かせたように聞こえる箇所があったりしたが,基本的にはオーソドックスな解釈。でも凄まじい生命力で,最後まで一気に聴かせられた。やはり,カルロス・クライバーを思わせる演奏だと思った。

 演奏終了後も,ベルリンの聴衆があれだけ熱狂してブラボーを叫ぶのはかなり珍しいように思った。

 

 首席指揮者・音楽監督に就任するのは来シーズンからだが,ますます期待が高まると同時に,短命で終わってしまわないかという妙な不安を感じてしまう。当たらないといいのだが。