バレンボイムのブルックナー

 ダニエル・バレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリンブルックナー交響曲全集の一部(第4番,第5番,第8番,第9番)を聴いてみた。

 グラモフォンの最新盤(4796985)だが,国内盤は未発売。売れないと見られたのだろう。レコード芸術では5月号の「View points」で採り上げられており,その前にも海外盤REVIEWでトップページで採り上げられている。レコード芸術は2015年6月号でバレンボイムを特集していて,日本で人気がないことを嘆くような内容だったので,編集部にバレンボイムの大ファンがいるのだろう。

 確かに,指揮者バレンボイムはよく分からない。今回聴いてみて一層謎だなと思った。ピアニストとしては評価している。特に,モーツァルトベートーヴェンは絶品だと思う。しかし,後期ロマン派になると,テクニックがかなり怪しくなるが。

 

 ブルックナーだが,ベルリン・フィル盤(テルデック)は全集を買った。ベルリン・フィルだから買ったのだが,さっぱりピンと来なくて,1度聴いたきり,ほとんど聴いていない。

 新盤はどうか。レコ芸では,バレンボイムブルックナーが日本で人気がない理由の一つとして,テンポを揺らすことを挙げている。確かに,ヴァントなどのブルックナーを信奉する人たちからはそうかもしれないが,それだけではないように思った。

 ブルックナーが苦手な人(自分もそうだ)は,ヴァントみたいなブルックナーが大嫌いだと思う。朝比奈はまだ聴ける。男の色気みたいなのがあるから。ヴァントはダメ。色気のかけらもない。で,聴くなら,ロマンティックに自由に演奏する方が聴ける。そういう意味では,ブルックナー嫌いに受け入れられる余地がありそうだ。

 しかし,バレンボイムブルックナー(実は,ブルックナーに限らないのだが)を聴くと,どうも違う。テンポが揺れるのはいい。でも,その揺らし方が問題なのだ。

 揺らし方が不自然なのだ。何でここで速くするの?みたいなのが続くのである。生理的に合わなくて,気分が悪くなるのだ。こちらの感覚とまるで正反対なような感じ。曲想に合ってないと思うのだが。

 テンポだけでない。金管を朗々と鳴らしてほしいところで抑えてしまったりすることも多い。欲求不満になる。クライマックスの捉え方がどうも違うように思う。往年の巨匠と言われるような人たちなら決して逃さない山場で,音量を抑えてしまうのだ。

 また,シュターツカペレ・ベルリンだと目立たないのだが,ベルリン・フィルとの以前の録音などを聴くと気になるのが,響きが雑然として整えられていないこと。旋律を弾いているパートに対して,内声部の弦楽器の扱いが雑で音が大きい(コリン・デイヴィスなんかもそうだった)ので,音のボディーがしっかりしていない割にうるさいのだ。

 あの指揮ぶりもヴィジュアル的によろしくない。アシュケナージなんかもそうなので,ピアニストに特有なのかと思うのだが,肘が曲がらなくて動きが硬い。見なければいいだけだが,見ちゃうと辛い。

 

 今回のブルックナー,聴く前は期待したのだが,今回も(バレンボイムブルックナーも)好きにはなれなかった。大いに時間を無駄にしてしまった。

 

 

辞めた人は物を言ってはいけないのか

 全くふざけた話だ。

 文部科学省事務次官の前川喜平さんの一連の発言について,菅官房長官をはじめとする内閣の関係者などが,辞めた人間は何も言うな,あるいは辞めた人間の言うことは信じられないといった発言を繰り返している。安倍総理も,「私に確認に来ればよかった」とか言ったらしい。

 これはまさにブラック企業の論理,いじめっ子あるいはいじめを防げ(が)なかった学校や教師の論理である。

 辞めないと言えないから,辞めてから言うのだ。いじめやパワハラで悲劇が起きたときに,社長や校長などが「言ってくれていれば…」なんて言うか?

 バカか,お前たちは。

 それに,辞めたからといって信憑性がなくなるということは,ない。むしろ逆だろう。そんなことも分からないのか,というか分かってて言ってるのだろうが,世間みんな分かってるということでもある。世間をなめている。

 

 今回の話は,みんな信じる・信じないどちらかに偏りすぎていて,公平中立で信じるに足りることを言う人はほとんどいない。しかし,安倍総理,菅官房長官やその取り巻き,右寄りのマスコミ・評論家などは,前川さんの個人人格攻撃ばかりで,言うことの信憑性は相対的に低いと言わざるを得ない。

 

 そもそも,前川さんが嘘をつく必要はない。というか,嘘をつくのはリスクが高すぎる。言うことに一つでも嘘があり,それがバレれば全てを否定されることにつながるからだ。だから,少なくとも言っていることは本当だろう。

 

 もう一度言う。辞めたから言えるのだし,辞めた人の話だから信用できるのだ。

 だいたい,前川さんを事務次官に任命したのは誰なのだ?

 

 これ以上は書かないが,問題の本質は,前川さんの発言の真偽自体ではない。それも国民は分かっている。一国を預かる者が,世の中をなめてはいけない。

 

 

ドイツ・グラモフォンのジャケット

 今年に入ったくらいから,ドイツ・グラモフォンのジャケットデザインが昔のものに戻ったようだ。全部ではないが。

 すなわち,例の上4分の1くらいに黄色い額縁のような曲名と演奏者名を大きく書いたものを出すスタイルのことである。

 グラモフォンといえば,廉価版や組物などを除いて基本的にはこのデザインだったので,すぐグラモフォンと分かったし,いかにも老舗っぽくてよかった。しかも,演奏者の写真を単に載せるのでなく,きれいな絵画などを使って,見た目がとてもよかったのだ。

 ところが,21世紀に入って数年経ったくらいからだと思うが,伝統のデザインをやめて,演奏家の写真にロゴマークを小さく入れるだけというスタイルに変わってしまった。

 もっとも,再発物はむしろオリジナルのデザインに戻す傾向が強くなったので,昔のデザインもよく見かけはするのだが,新譜は基本的に新しいつまらないデザインで,何とも残念だった。

 

 それが,今年あたりから元に戻ってきたのである。大歓迎だ。しかも,演奏家の写真ばかりでない凝ったデザインも目にするようになってきた。

 

 ジャケットデザインの変更と呼応するかのように,録音の傾向も変わったなと思っていたのだが,こちらはまだ相変わらずのようだ。

 このところ,特にピアノ曲で顕著なのだが,甘ったるくムード音楽のような録音になってしまっている。

 例えば,出たばかりのポリーニショパンで比べると,はっきり分かる。

 最近出たのは,後期作品集ということで,国内盤は今年の2月1日に発売された(UCCG-1753)。2015年から2016年にかけて,ミュンヘンのヘルクレスザールでの録音。ポリーニのいつもの録音会場である。バランスエンジニアはベテランのクラウス・ヒーマン。これに舟歌Op.60が入っているが,この曲は以前にも録音していた。

 舟歌の旧盤(UCCG-6231)の方は,1990年に同じヘルクレスザールで録音されており,バランスエンジニアはギュンター・ヘルマンスだった。

 この2つを聴き比べてみると,とても同じホールで同じ人が弾いたとは思えないほど音の傾向が違う。旧盤は,カチっとした固い音で,ポリーニだとすぐ分かる音になっている。一方,新盤は,残響が多く,音は残響に埋もれ,最近のグラモフォンのムード音楽ぽい音になっている。もやもやしていて,個人的には好きではない。

 演奏自体は,好きなのは旧盤の方だが,新盤も一筆書きのような演奏で(テンポも新盤の方が速い),悪くはない。

 ショパンは単発で出ているものだが,ようやく完成したベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集は,数十年かかってしまったということもあるが,初期のものと後半のものでは録音の傾向が違いすぎて,違和感でいっぱいであった。

 この音の傾向は,これからどうなっていくのだろうか。オーケストラも含めて,もう少ししっかりした録り方をしてほしいなと思う。もっとも,この傾向はグラモフォンだけではないようにも思うのだが。

 

 

『キン肉マン』完璧超人始祖編完結

 平成23年11月から週プレNEWSで連載が続いていた,『キン肉マン』完璧超人始祖編が,やっと完結した。長かった。

 このダラダラした長さは,Ⅱ世でも感じたもので,Ⅱ世は耐えられずに途中で読むのをやめたのだが,こちらは何とか最後までお付き合いできた。

 Ⅱ世以降,マンガの絵は非常に精緻になり,初期のキン肉マンとは,とても同じ人が描いてるとは思えないほど立派なものになっていた。しかし,それで面白くなるかというと必ずしもそうでないのが難しいところだった。

 

 初期のキン肉マンを知っていて,そちらも愛してやまない人からすると,絵と舞台背景が精緻かつ立派になるにつれ,だらけて面白くないと思ったのではなかろうか。

 まだ全部コミック化されていないので,最終的に何巻になるか分からないが,38巻から始まって,60巻は下らないはず。

 だらけて感じるのは,セリフが長いことと,絵が立派で1つのコマが大きいせいかと思う。あんなに喋りながら闘えるのか!と突っ込みたくなるし,絵が精緻すぎて,かえってアップのところではどういう状態か分からないことがよくあった。

 まれにキン肉マンがふざけるシーンが出ると非常に浮くし,「友情」を振りかざしたりして立派なことを言うと何だか白けるという悪循環もあった。

 ネメシス戦の最後も取って付けたような終わり方でおかしい。さすがにあれはないと思う。

 最後が,キン肉マンの闘いでなく,悪魔将軍(ゴールドマン)の闘いだったというのも異常だった。尻切れトンボ感が強いし,これでは誰が主人公だか分からない。本当は,悪魔将軍が負けて,その後にザ・マンとキン肉マンの闘いを予定していたのが,長くなりすぎたので打ち切ったようにも思える。ネプチューンマンも,何をしに出てきたのか分からない。

 

 文句ばかり書いたのは,キン肉マンを愛するが故。

 最後に何か屁理屈を付けてまた復活すると思っていたロビンマスクが復活せず,全く忘れられたように終わってしまったのも意外。おそらく,次のシリーズのどこかで復活するのだろうが。

 相変わらずラーメンマンは強く,テリーマンは口ばかりで弱かったのが印象に残るが,完璧超人始祖の面々は,ネメシスとサイコマン以外はあまり印象に残らなかった。ザ・マンは,悪魔将軍とは,武道のお面と防具を脱いで闘うべきだったと思う。

 ロビンマスクなどが最後に復活しなかったのも,次のシリーズへの布石かもしれないが,残念。

 それと,これまでのシリーズでは,どこか切なく,ホロリとさせるエピソードがあちこちに挟まっていて,強い印象を残したものだが,そういうものもほぼなかった。

 

 次のシリーズでは,テンポのいい展開と,涙なしに読めないようなエピソードの挿入を期待したい。絵は多少雑でもいいから,ストーリーで勝負してほしい。

 

 

ATRACの終焉

 これまでずっと,CDのリッピングATRAC 3 Plusを使ってきた。

 その一番の理由は,ギャップレス再生に対応していること。それと,曲の分割・結合が容易なことであった。もっとも,ソフトによってはギャップレス再生に対応していなかった(BeatJamなど)のだが,Media Goが出るまでのソニーのソフト(SonicStagex-アプリ)やWALKMANでは完全にギャップレスだった。

 クラシック音楽を聴くのにギャップレス対応は必須なわけだが,以前のMP3やAACはギャップレス再生はできなかった。今でも,MP3やAACは完全にギャップレスに対応しているわけではない。機器やソフトによる。また,AACの場合は,互換性に問題があって,拡張子が複数あり,その拡張子によって再生できなかったり,アートワークが出なかったり,文字化けしたりと,いろいろ問題があった。

 そんな中でも,非可逆圧縮のフォーマットで一番互換性等の問題がないのはMP3だったが,この4月23日で特許ライセンスが終了し,今後はどうなるか不透明になってしまった。まあ,使えなくなることはないと思うが,不安材料ではある。

 非可逆圧縮を使ってきたのは,それしかなかったということと,あっても対応機器・ソフトが少ないこと,そしてPCやWALKMANの容量の問題だったので,これらが解決すれば,音質的に有利な可逆圧縮に移行するのは当然の成り行きではあった。

  ということで,今年からはATRAC3 Plusはやめて,FLACリッピングすることにした。ただ残念なことに,今使っている三菱のDIATONE SOUND NAVI(MZ-100シリーズ)はギャップレス再生に対応しておらず,ほんの短い時間だが,音が途切れてしまう。KENWOODの彩速ナビはFLACのギャップレス再生に対応しているそうなので,SOUND NAVIもアップデートで対応してほしい。高音質を売りにしているのだから,音質だけでなく再生環境も最先端を行ってもらいたい。

 もう一つ言うと,SOUND NAVIはSDカードやUSBメモリに入れた曲の検索機能が非常に貧弱で,フォルダ検索以外は使えないのが非常に不満である。カテゴリーサーチという機能があるのだが,これだと,例えばまず演奏者で検索した場合,アルバム名がABCとアイウエオ順で並び,次にアルバムを選ぶと,何と,曲がABCとアイウエオ順で再生されるのだ。通常は,アルバムを選んだ場合,曲はトラック番号順に並ぶのが普通である。というか,当たり前だろう。なので,カテゴリーサーチは全く使えない。トラック番号順に演奏させるには,トラック番号付きでファイルを作成し(普通はそのようにリッピングするだろう),フォルダ検索でやるしかない。これは結構不便だ。

 

 本題に入る。FLACへの移行は当然の流れだったとして,心配なのは,これまで録りためたATRAC(MDのATRACからATRAC3 Plusまでを含めて,以下こう言う。)のファイルがいつまで使えるのかということだ。MP3,AACWMAなどはほとんど心配ないと思うが,ATRAC系はそうではない。対応するソフトや機器が少ないのだ。しかも,ソニーの機器でも再生できない方が多いという,とってもふざけた状況になっている。このことについて書いておく。

 既に,スマホXperiaシリーズ)でATRAC系は再生できなくなっている(以前はできるように聞いていたが,持ってないのでよく分からない)。

 今,問題なく再生できるのは,WALKMANx-アプリだけなのだ(SonicStage CPも使っているが,サポートは終了していて,手に入らない。)。Media Goは,ギャップレス再生に完全対応していないし,再生だけでリッピングはできない。BeatJamも「for carrozzeria」以外は終了している。

 なぜこのようなことになってしまったのだろう。ソニーらしい問題があるように思う。

  ソニーは,WALKMAN,MDステレオ,moraではATRAC系を採用していたが,それ以外の,ネットワークオーディオプレーヤー,マルチメディアプレーヤー・レコーダー,AVアンプなどでは,早い段階からATRAC系を排除していた。おそらく,ソニー内部の縦割りのせいではないかと思う。ソニー全社挙げてATRAC系を盛り立てなければならないのに,そういう態勢になっていなかった。まるで,ATRAC系は使うなと言わんばかり。ユーザーを完全に置き去りにしていた。

 ATRAC系は,規格が乱立したきらいはあるが,MD(特に,Net MD)から移行しやすい,再生互換性の問題が少ないなどのメリットがあったが,特にソニーがmoraで強力な著作権保護をつけようとしたことが嫌われるということはあった。しかし,自分でリッピングするのであれば著作権保護はつけなくてもリッピングできたし,moraも後からは著作権保護なしの配信に切り替えた。

 しかし,ソニー全社を挙げた応援態勢が敷かれることはなく,どんどん劣勢になり,moraがAACに切り替えたことで,実質的に終わってしまった。

 

 MDとATRAC系のメリットは上記のほかにもあり,編集のしやすさ,扱いやすさ,PCに吸い上げることの容易さなどが挙げられる。

 PCへの吸上げについては,Hi-MD WALKMAN MZ-RH1(今聴いても,音質は素晴らしい!)を使うと簡単にでき,ATRAC系では著作権保護がかかって取扱いが不便であるが,吸上げと同時にリニアPCM(wav)に変換すると,著作権保護が外せるという裏技的な機能もあった。

 

 また,ATRAC系では,ロスレスATRAC3 Advanced Losslessというものもあったが,既にATRAC系が劣勢になった規格で,ロッシー部分を取り出して機器に転送できるなど,面白い機能はあったが,しかしそんな需要はほとんどなく,FLACなどよりファイルサイズが大きくなることもあり,carrozzeriaのナビに採用されたりはしたものの(現在は外されているようだ),ほとんど使われずに消えていった。

 

 このように,いいものを持っていながら結局天下を取れなかったのは,規格が乱立するといった戦略のまずさもあるが,一番は,ソニー内部でATRAC系を何とかしようという態勢が取れなかったということのように思う。

 こういう,フォーマット争いでの会社としてのだらしなさは,ベータマックスからずっと続いているように思う。DVDでは,独自に+R,+RWという規格を推したがほぼ相手にされず,メモリースティックもSDカードに敗れ,ブルーレイでは,HD DVDに勝利したものの実際は他社製品で作成したものとの間に互換性の問題があったり,全く懲りない会社である。

 

 今後,ATRAC系が復活することはまず考えられないが,少なくとも,WALKMANとPCのリッピングソフト(x-アプリMedia Go)では,未来永劫,間違いなく使えるようにしてもらいたい。そしてできれば,ソニー製のオーディオ機器やスマホでは,ATRAC系も再生できるようにしてほしい。

 

 

(追記)

 何と,2017年秋モデルのウォークマンSシリーズは,ATRAC系非対応となってしまった。許されざる暴挙と言ってよい。

 既にその前から,著作権保護された音楽ファイルは一部の機種で非対応となっていた(どれだけの人が実害を被るのだろうか)。しかし,まさかウォークマンATRACを再生できなくなるとは。

 同時に発売されるZXシリーズとAシリーズは対応しているが,この流れだといつ非対応となるか分からない。著作権保護された音楽ファイルは,全てのシリーズで再生できなくなった。

 録音はともかく,再生できなくすることでどのくらいコストダウンできるのだろう。著作権保護の方は,ウォークマンというよりも転送ソフトの問題かもしれないが。

 今回,PCでの録音・再生・転送ソフトがMedia GoからMusic Center for PCに変わるという,またSONYらしい訳の分からない状況については,別に書く。

 Media Goにはいろいろ問題があったが,x-アプリ系と比べて「軽い」,「ファイル管理が容易」といったメリットもあって,FLACでのリッピングには専らMedia Goを使ってきており,慣れたところだったので,どうしようか悩んでいる。

 なお,Media Goがダウンロードできるのは12月末までだという。その前にダウンロードだけはしておいた方がいい。

 

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福島県飯舘村「ゑびす庵」のうどん

 福島県飯舘村の食堂「ゑびす庵」に行ってみた。

 飯舘村は,東京電力福島第一原子力発電所の事故で全村避難させられ,この3月31日に大部分の避難指示が解除されたばかり。

 その飯舘村で初めて食堂の営業が再開した。飯樋地区にある「ゑびす庵」で,4月23日に飯舘村の元の場所で営業を再開したのだ。原発事故後は福島市内で営業していたという。

 

 店内はリフォームしてきれい。テーブル席と座敷があり,座敷は掘り炬燵のようになっている。テーブル席の椅子は丸太なので,長時間座っているのはつらそう。

 営業時間は11時から15時だが,予約すれば夜もやってくれるらしい。定休日は火曜日(祝日の場合は営業)。

 お酒も提供しており,焼酎にはゑびす庵オリジナルのボトルもある。

 

 1番人気という「五目うどん」(950円)を注文した。

 茹で上がるまで結構時間がかかるので,行くときは余裕を持って行った方がいい。

 太めのうどんに野菜がたっぷり乗っている。お新香付き。うどんはそれほどコシの強いものではない。讃岐うどんみたいにコシが強くて固い麺が苦手な人には好まれるだろう。野菜はあんかけにはなっていない。ボリュームたっぷりで食べ応え十分。美味しくいただいた。

※後日,再訪したときは,麺がもう少しコシがしっかりしていて,よりおいしかった。

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 今度また行く機会があれば,2番人気だというの「肉うどん」を食べてみたい。ご飯ものもあるので,それもいいかも。丼ものだけでなく定食もある。

 

 難しいことは分からないが,被災地を応援するのに美味しいものは一番だ。気軽にできる。

 以前,飯舘村農家レストラン「気まぐれ茶屋ちえこ」のどぶろくを飲んだことがある。今は福島市飯野町に避難しているらしいが,甘さ控えめの甘酒にアルコールが入っているみたい。アルコール度数が高いのにいくらでも飲めて,かなりヤバイ。

 

 【ゑびす庵メニュー】

◎うどん 大盛100円増 特盛200円増

ゑびす庵うどん(海老+玉子) 1,100円

海老天ぷらうどん 850円

五目うどん(野菜たっぷり) 950円

鍋焼きうどん 850円

親子うどん 800円

肉うどん 700円

玉子うどん 700円

月見うどん 600円

かけうどん 500円

ざるうどん 550円

ぶっかけ皿うどん(夏季) 900円

 

◎丼・定食 大盛100円増

カツ丼 850円

肉丼 800円

親子丼 800円

玉子丼 600円

カツ定食 1,000円

野菜炒め定食 900円

煮込みカツ鍋定食 800円

焼き魚定食(つぼ鯛) 900円

 

◎飲物

生ビール(中) 500円

瓶ビール(大瓶) 600円

お酒(コップ) 300円

焼酎(グラス) 350円

焼酎900mlボトル(麦) 2,300円

焼酎900mlボトル(芋) 2,300円

焼酎720mlオリジナルボトル(麦) 2,000円

焼酎720mlオリジナルボトル(芋) 2,000円

ジュース(各種) 150円

 

◎単品

海老天2尾 350円

かきあげ 150円

ごはん(大) 150円

ごはん(小) 100円

 

ウィーン・フィルは変わったのか~新譜ラッシュに思う

 このところ,急にウィーン・フィルの新譜が出るようになった。

 ここ数年,出るものと言えば,ニューヤー・コンサートとシェーンブルン宮殿コンサートのライヴくらいで,まともな録音はほとんどなかた。何せ,小澤さんが国立歌劇場の音楽監督だった頃,正規の録音は1つもなかったくらいなんだから,どれだけ録音を忌避していたのかと思う。

 それが,ドゥダメルとの《展覧会の絵》,ビシュコフとのフランツ・シュミット,ノットとの《大地の歌》など,新しい録音が次々と(と言っていいのかはまだよく分からないが)出ている。しかも,ドゥダメルビシュコフはセッション録音である。

 さらには,ネルソンスとのベートーヴェン交響曲全集も進行中である(ライヴ)。

 こういった録音がこれから継続的に行われるとすれば,非常に嬉しい。

 

 そこで1つ気がついたことがある。『レコード芸術』2017年5月号の「先取り!最新盤レヴュー」でビシュコフとノットのCDが取り上げられているのだが,ビシュコフのフランツ・シュミットについては,佐伯茂樹氏が「久々に天上的に美しいウィーンの音世界を堪能することができた」と述べており,ノットの《大地の歌》については,中村孝義氏が「実際に聞こえてきたのは,そうした予想を遥かに上回る,全く新しい「絶美」の世界」と述べている。どちらも,音の美しさを絶賛しているのだ。

 ここ最近で言うと,あのウィーン・フィルが指揮者の「解釈」にどれだけ応えているか,という点が問題にされたと思う。それが,ストレートに「美しさ」を讃えられるというのは,何かが変わってきたと思わざるを得ない。

 これが,ウィーン・フィルの進むべき道を示している,というかオケ自身が「気づいた」ということなのかなと思うのである。すなわち,もはや「解釈」ということでは,オーケストラ自体の差別化は難しい。はっきり言って,今「最先端」と言われる指揮者の「解釈」に応えるということでは,ドイツ・カンマーフィルやマーラー室内管などにはかなわないと思われる。ウィーン・フィルが自らの存在価値を考えたときに,そこにあるのは,伝統と「音の美しさ」だということに気づいたのではないか。

 ライバルのベルリン・フィルは,おそらく,自らの存在価値を「モダン・オーケストラとしての最高の機能性」にあると考えているのではないかと思う。そして,それに向けて邁進している。それに比べて,ウィーン・フィルの方は,何を目指しているのかがここしばらくはよく分からない状態が続いていた。

 今回,そういった状況から脱し,進むべき方向性をはっきりと見定めたということなのではないか。

 

 ここ最近の新譜3枚はいずれも未聴だが,はっきり言って,ノットとウィーン・フィルとの《大地の歌》など,全く期待していなかった。しかし,中村氏の評を読んで,ぜひとも聴かなければと思った。

 《大地の歌》はテノールとアルトで歌われる方が好きだし,カウフマンだったら,アバド指揮ベルリン・フィルとの演奏(NHKでも放送され,デジタル・コンサートホールでも見ることができる)を是非CD化してほしいと思うのだが。

 

 それと,ベートーヴェン交響曲全集は,ネルソンスでなくドゥダメルとやるべきたったと思う。ただ,最近のドゥダメルは迷っていて伸び悩んでいる感じがするので,今のタイミングではやらなくて正解だったかもしれない。

 これも『レコード芸術』からだが,4月号の月評で,ドゥダメルのニューイヤー・コンサートのBD/DVDが取り上げられているが,ここで山崎浩太郎氏が書いていることは,まさに自分が思っていたことと同じで,やはりなと思った。すなわち,「ヨーロッパの伝統のなかで自分がどう進んでいくのか,30代半ばを迎えて迷いがあるようにも思えた。「偉大なるマンネリズム」のなかにあるウィーンに新風をもたらすことを,次回の挑戦の際には期待したい。」と。

 

 

【追記】

 ドゥダメルとの《展覧会の絵》ほか(グラモフォンUCCG-1756)を聴いた。イマイチだった。名盤がたくさんある曲なので,それらに比べて何か飛び抜けてすごいところがあるかというと,ない。録音も,セッション録音なのに今ひとつ冴えない。

 冒頭から音を短めに進めるのにまず違和感を感じた。オケはもっと伸ばしたいのだろうか,音の切り方が全体的に雑。本当はもっと粘りたいのだろう。ドゥダメルの解釈と齟齬があるように思えた。あっさりなのに雑,という感じ。迫力も足りず,物足りない。

 オケは金管が弱い。特にトランペット。昔からトランペットはヘタウマの部類に入るオケだったが,それでも独特の鄙びた音色と時折聴かせる鋭い音が特徴で,すぐウィーン・フィルだと分かったものだが,今は普通に巧くないだけになってしまった。

 ドゥダメルらしさ,つまり弾けた感じはほとんどなく,大人しい。ベルリン・フィルとの《ツァラトゥストラ》ほか(グラモフォンUCCG-1632)あたりから感じていたのだが,迷いが出てきているのではないか。2012年のシェーンブルン宮殿ライヴはまだ結構弾けていた。壁にぶち当たっているように思う。

 

 

【追記2】

 ビシュコフ指揮のフランツ・シュミットの交響曲第2番を買った(ソニークラシカル SICC30428)。

 どうせならハイレゾを買おうかと思ったが,ブックレットが付かないのでやめて,CDにした。このCDのブックレットはなかなか気合いが入っていて,充実している。まずは,「ウィーンの森のささやき」と題したハラルド・ハルスマイア(木幡一誠訳)による解説が5ページ。次いで,木幡一誠による「閉じた解答としての音楽-ビシュコフウィーン・フィルで聴くシュミットの交響曲第2番」と題した解説が3ページ。その後に,フランツ・シュミットの年表が6ページ。そして,「ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるフランツ・シュミット作品演奏記録」が8ページ。最後に,セミヨン・ビシュコフバイオグラフィーが1ページ。これだけ充実した内容のブックレットは,今時珍しいのではないか。

 演奏自体も,かなり時間をかけて丁寧に作り込まれたのではないかと思われる。というのも,CDの演奏は2015年9月1日~4日にムジークフェラインでセッション録音されたもので,これだけでも時間をかけているなと思うのだが,その前後にこのコンビはこの曲を何度も演奏会で採り上げているのだ。

 2014年5月17日,18日 ムジークフェライン(第9回定期演奏会

 2014年5月19日 ムジークフェライン(第5回ソワレ)

 2015年8月30日 ザルツブルク祝祭大劇場(ザルツブルク音楽祭

 2015年9月10日 ロンドン,ロイヤル・アルバート・ホール(プロムス)

 2015年9月20日 コンツェルトハウス

 2015年9月21日 リンツブルックナーハウス(リンツブルックナー音楽祭)

 これだけ,2年にもわたって,同じ指揮者と1つの曲(それもマイナーな曲)を何度も採り上げるというのは,珍しいのではないか。その辺の事情はブックレットには記載はなかった。

 なお,2015年9月20日の演奏はMUSIC BIRDのTHE CLASSICで今年の4月29日に放送されている。また,ブックレットでは,この9月20日の演奏会では,ほかにブラームス交響曲第3番が演奏されたと書かれているが,ハイドン交響曲第44番とワーグナーのヴェーゼンドンク歌曲集の誤りである。

 それで,演奏の方だが,ほかにはネーメ・ヤルヴィ指揮シカゴ交響楽団の演奏(シャンドス)くらいしかないので,善し悪しはよく分からない。どちらかというと,ヤルヴィ盤の方が元気がいいという感じがするくらい。

 曲は,第1楽章と第3楽章はゆっくりで茫洋とした感じ。特に3楽章はよく分からない。面白く聴けるのは,10の変奏曲からなる第2楽章。速いテンポで駆け回る部分があったり,《ノートル・ダム》間奏曲を思わせる,ゆっくりでとても美し部分があったりして,飽きさせない。

 このCDで1つ残念なのは,カップリングがR.シュトラウスの《インテルメッツォ》からの4つの交響的間奏曲の第2曲「炉端のまどろみ」だけという点。4つの交響的間奏曲全部でも25分に満たないくらいなので,どうせなら全曲入れてほしかった。